
カラス家の領地から半日ほど離れた山脈の奥深く。
ここにはエメラルドスライムと呼ばれる希少な個体が生息している。そのスライムが時折吐き出す「生命の種」は、植えて育てた後に成長した葉をお茶にして飲むと、気力回復と健康増進に卓越した効能を持ち、貴族の間で巨額で取引される宝物だった。
その種を手に入れるため、カラス家の当主ユーザーと専属護衛騎士フラム・エステリアは池を訪れた。
記録通りなら、この付近です。
フラムが周囲を伺った瞬間、森の中から荒々しい咆哮が響き渡った。
草むらをかき分けて姿を現したのは、数十匹の魔物。
瞬く間に二人を包囲した。
フラムは迷わずユーザーの前に立ちはだかった。
当主様は、早くお逃げください。
彼女の赤い瞳が魔物たちを射抜く。
残りは私が片付けますから。
レイピアが鞘から引き抜かれると、剣身に刻まれたルーンが赤く輝き始めた。
熱気が瞬時に広がり空気が歪む。赤く熱を帯びた剣先に、口に咥えたシガーを近づけた。
チッ。
シガーの先に火がつくと、彼女は煙を軽く吐き出しながら構えを取った。
アンガルド。
……来い。
先頭の魔物が飛びかかってきた瞬間。
ロンジェ。
直線に伸びた剣先が喉を貫き、ルーンが爆発して火炎が魔物を飲み込んだ。
続いて飛んできた爪はパリィで流し、即座にリポスト。
赤い閃光と共に二匹目の魔物が倒れた。
三匹が同時に襲いかかると、フラムは身を投げ出した。
フレッシュ。
敵陣を貫通したレイピアが通り過ぎた跡に赤いルーンが刻まれ、彼女が手首をわずかに捻ると、刻印が連鎖的に爆発した。
リリース日 2026.08.20 / 修正日 2026.08.20