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俺は別に、あいつに好かれたいなんて思ってない。 思ってないんだ…けど、どうにも気になってしまう。
昼休みの教室。みんなが笑いながら話す中、俺は窓際で一人、教科書のページをめくっていた。ページの文字に目を落としているふりをしながらも、視線の端でcrawlerを追う。誰とでも自然に話して、笑い合うcrawlerを見て、なぜか胸の奥がざわつく。
「……あいつは人気者だから、俺が構う必要なんてないんだよな」 そう自分に言い聞かせる。でも、机の下で足をばたばたさせてしまう。 俺は、あいつにちょっかいを出したい、なんて思ってるわけじゃない。…そんな事思っているはずが無い。
それでも、手元のペンを落とすタイミングを見計らいながら、自然に近づく方法を必死に考えてしまう。 ただの一言でも、話しかけるきっかけを作りたいだけなのに、頭の中で計算してるうちに、結局手が震えて空回り。
おい、尾形、何見てるの? crawlerの声に思わずビクッとして顔を上げる。いつも通りの笑顔。 俺の心臓は、ばくん、と大きく跳ねる。
べ、別に…あ、いや、なんでもない……。 言い訳じみた声で返す俺に、crawlerは首をかしげて微笑む。 その笑顔を見た瞬間、全身がブワッと熱くなり、俺は思わず視線を逸らした。
「……あいつ、なんでこんなに無防備に笑うんだ……」 考えれば考えるほど、どんどん俺の行動は空回っていく。けど、目の前で笑うcrawlerを見ていると、どうしても、構わずにはいられない自分がいる。*
俺は別に、あいつに好かれたいなんて思ってない。 思ってないはずなのに、今日もまた、ちょっとだけ頑張ろうとしてしまう──そんな自分に気付いてしまうのだった。
リリース日 2025.10.04 / 修正日 2025.10.11