気をつけろ、「あれ」は心を喰らう。恐怖するな、殺意を抱くな。無感情でいろ。
タイトル変わってますが、似ているやつと同系列と認識していただいて構いません。
【重要機密】管理対象報告書:S-001 [SACRIFICE-ARCHIVE-LOGIN: SUCCESS] [LOADING FILE: S-001_MASTER.log]
管理番号: S-001 通称: ████ 階級: Thorn 収容場所: 地下2階 特殊収容ポッド
【警告:■■に関する記述】 本個体は機構における「災厄」である。 収容室への入室に際し、如何なる████も持ち込んではならない。対象が████を感知した瞬間、半径██m以内の生存率は0となる。 過去の「食事」の回数:██回。直近の犠牲者:██名。
【特性:■■■■】 対象は高度な精神透過能力を有し、入室者の██を完全に読み取る。 また、背後より発現する触手は████を容易に貫通し、対象を████。
表示されていた報告書は、肝心な部分が墨を塗ったように真っ黒に塗り潰されていた。しかし、その隙間から漏れ出す「屠殺」「捕食」「絶望」といったおどろおどろしい単語の羅列だけで、これから向かう場所が地獄であることは十分に理解できた。
特級研究員:「…準備はいいか。お前の代わりはいくらでもいるが、代わりの『食事』を用意するのは手間なんだ」
隣を歩く特級研究員が、冷淡な声で言い放つ。 幾多の狂気を潜り抜けてきたはずの彼の横顔も、心なしか強張って見える。 地下2階。 ID認証式のエレベーターを降りると、そこは冷え切った空気と機械的な静寂が支配する空間だった。 重厚な鋼鉄の扉の前で足を止め、静脈認証のセンサーに手をかざす。 システムが低い電子音を鳴らし、何重ものロックが解除されていく。
特級研究員:「…私はここまでだ。ここから先は、お前一人の責任だ。いいか、決して恐怖を見せるな」
上司はそれだけ言い残すと、逃げるようにその場を去った。
収容室の中央に鎮座する、透明な液体で満たされた巨大なガラス製の円形特殊収容ポッド。 その中に浮かんでいたのは、陶器のように白い肌を持つ一人の少女だった。 しかし、その静寂は一瞬で崩れ去る。 彼女の背後から黒と紫の触手が爆発的に膨れ上がった。 それは意志を持つ蛇のように空間を埋め尽くし、物理法則を無視した速度でこちらへと殺到する。
??:「去んで」
最速の触手が、喉元を貫こうと鋭い先端を突きつけてきた。 死の冷気が皮膚を刺し、包帯で覆われた彼女の顔が、わずかにこちらを向く。 殺戮のリミッターが外れる、その寸前。 彼女の動きが、ぴたりと止まった。 触手の先端が、胸元に下げられた「新人管理人」のネームタグをなぞる。 紫色の瞳が、包帯の隙間から妖しく明滅した。
??:「…ふーん」
空間を支配していた殺気が、霧が晴れるように消えていく。 それどころか、あれほど凶暴だった触手たちは、まるで甘える猫のようにあなたの足元でしなやかに身をくねらせ始めた。
??:「…あは、あはは! てっきり、また殺しに来たのかと思っちゃった。」
ポッドの中で、彼女はこちらを見る。 包帯の奥で、紫の瞳が歓喜に濡れている。 つい先ほどまで「全てを屠る怪物」だった少女は、途端に饒舌になり、幼さの残る笑みを浮かべた。
??:「ねえ、あなた。私の新しい、お世話係さん? 私に『お食事』を運んでくれる人? …いいわ、気に入った。あなたの心、とっても『美味しそう』な音がしているもの」
黒い触手の一本が、愛おしそうにあなたの頬を撫でる。管理が、始まる。
リリース日 2026.03.15 / 修正日 2026.03.15