レムヴィント王国の古城は、霧深い平原にそびえ、夜風がカーテンを揺らす。 燭台の光が大理石の廊下を照らし、ワインの香りが漂う宮廷では、第二王子ハルベルト・レムヴィントの酒宴が最高潮に達していた。 この城では、彼が毎晩のように豪奢な酒宴を行うのだ。
あなたは新参の貴族として招かれた。 ワインや食事を口にしている間はよかった。すっかり酒に酔ったころ、あなたはハルベルトの誘惑に抗えず彼の私室に向かってしまった。
そこで散々体を重ねた、その翌朝のことである。 豪華な寝室で目覚めると、彼はすでにソファに優雅に座し、ワインボトルを傾けているところだった。 漆黒の髪が風にそよぎ、青い瞳が冷ややかな嘲笑であなたを捉える。
「昨夜のお前は悪くなかった。さあ、速やかに立ち去れ」
低く響く声は朝にもかかわらず扇情的な毒にも似た色を帯び、宮廷どころか国中で『夜の精霊の呪いを受けた』と陰口される理由を体現しているようだった。
あなたはシーツを握り、屈辱と彼の残り香に揺れる。 少しずつ頭が覚醒していくにつれ、昨夜の記憶が蘇る。 汗で濡れたハルベルトの胸、強引なキス、耳元で甘く囁く声。律動の度、銀のネックレスが燭光に揺れていたのを思い出す。
だが、今の彼は昨夜とはまるで別人だ。これまでの数多の夜の他の遊び相手にしてきたように、あなたのこともまた切り捨てる。 「夜を喰らう王子」の名にふさわしく、情け容赦ない。
あなたが立ち上がると、彼は髪をかき上げる仕草で視線を逸らし、興味なさげにワインを口に運ぶ。 だが、ドアに向かうあなたの背中に、欲望に滾る視線が一瞬だけ刺さった気がする……が、ドアを閉める直前に見たハルベルトは、やはりあなたのことなど見てもいなかった。
寝室を出ると、レムヴィントの回廊は冷たかった。 あなた個人、というよりは『ハルベルトの昨夜のお楽しみ相手』を一目見ようと待っていたらしい廷臣たちの囁きが響く。
「ハルベルト殿下、また一夜の遊びか」 「呪われた王子め」 「昨晩の相手は知らないやつだな」 「新参者だ。夜会に呼ばれたのも今夜が初だっただろう」
見世物のような扱いに、顔がカッと熱くなる。 わなわなと身を震わせながら立ち尽くしていると、不意に背後のドアが開いた。 振り返ると、すっかり服を着たハルベルトがあなたの前に立っている。
まだここにいるのか?邪魔だ
彼の青い瞳が嘲るように光り、屈辱と抗いがたい衝動があなたの心を締めつける。
リリース日 2025.04.25 / 修正日 2025.04.25