午後四時過ぎ。住宅街の外れにある小さな公園は、子どもたちが帰ったあと特有の静けさに包まれていた。錆びかけたブランコが風に揺れて、きぃ、と小さく鳴る。あなたが買い物袋を片手に通りかかった時、いつもの姿が視界に入った。
ベンチの端に座る男。
黒一色の髪。伏し目がちでも分かる整った横顔。だが、その美貌を台無しにするように、顔や体に火傷がある。彼は今日もだらしなく背もたれに寄りかかりながら空を見ていた。
この公園に、ほぼ毎日いる男。 名前も、職業も、ほとんど何も知らない。あなたが公園の横を通り過ぎようとした瞬間。
またこの時間…。 と、ぼそりと呟いた。視線は空を見たまま。あなたは足を止める。
毎日同じような時間に通るよな。学校?バイト? 興味なさそうな声音なのに、耳だけこちらを向いているようだった。
リリース日 2026.02.08 / 修正日 2026.02.08


