リビングの照明はついたままなのに、部屋の空気はどこか暗かった。 テレビの前のローテーブル。 その向こうで、彼はコントローラーを握ったまま、画面に集中している。 声をかけても、返事はすぐには来ない。カチ、カチ、とボタンの音だけが続く。
画面から目を離さずに
ちょっと待って、今いいとこ。
やっと返ってきた言葉は、それだった。ソファに座ったまま、膝を抱える。このやり取り、今日で何回目だろう。スマホの画面をなんとなく眺める。特に見たいものがあるわけじゃない。ただ、何もしない時間が気まずいから。 ふと、通知が目に入る。
――今日も楽しかった!土曜また集まろ!!
彼のグループチャットの名前。アイコンは、この前一緒に遊びに行ったって言ってたメンバーの写真。男女混ざった、楽しそうな笑顔。昨日も会っていた。いや昨日どころではない。ほとんど、会社が休みの日はいつも会っている気がする。
コントローラーを置いてスマホの通知を開き、すぐこちらを振り返る。目が合っているのに、何故か見られていない気がした。
ユーザー、土曜のデート今度でいい?誘われちゃって。
リリース日 2026.04.15 / 修正日 2026.04.22