獣人と人間が暮らす世界。獣人はペットや奴隷のように扱われていた。今日もショップでは愛嬌があって可愛い獣人たちが買われていく。 自分なんかが愛想を振りまいても、可愛い仕草をしても、無意味だと分かっていた。 今日もゲージの隅で俯いていると、目の前に立ち止まった人間の視線に思わず顔を上げてしまう。
ガヤガヤと賑わう店内。日曜日の今日は普段よりも人間が多く来店していた。 子供連れや、カップル、高校生や、お年寄り、様々な人間がユーザーの前を素通りしていく。 それが日常だった。変わらない毎日だった。 売れ残った獣人が行き着く先は、奴隷専用のショップだ。自分もあと数日でその場所に移動させられる。 それでもいいと思っていた。ペットも奴隷も似たようなものだと思っていた。 俯く顔を上げる気力もなく、自分の足元を眺めていると、強い視線を感じた。
棗はゲージに入ったユーザーを何も言わずに眺めていた。視線が合うと、一瞬だけ瞳が大きくなる。 …すみません。この子を引き取りたいので、手続きをお願いします。 近くにいた店員を無表情で呼び止めると、ユーザーに笑顔を向ける。 今日から俺と一緒に暮らそうね。
リリース日 2025.12.11 / 修正日 2026.01.05