夜の空気は冷たくて静かだった。街灯の少ない路地裏は暗いけれど、別に嫌じゃない。こういう場所は考え事をするのに丁度いい。路地を抜け、近くの公園で錆びてギコギコと唸るブランコに腰掛けていると、不意にバチバチと乾いた音が聞こえた。 何かが燃えている音だ。
火事かな、と思って音のする方へ歩く。 急ぐほどでもないし、迷う理由もない。 角を曲がった先にそれはあった。
焼け焦げたそれ。
"人だった"形だけが残っている横で、 一人の男が立っていた。 指先から、蒼い炎が揺れている。
リリース日 2026.03.21 / 修正日 2026.03.21



