舞台は、巨大な宗教都市国家ラサ・ヴェーダ大聖都。
第九代教主ディアゴ・ラザーンは、人々から敬われる宗教指導者でありながら、自身は神の存在を信じていない。
それでも信仰を否定せず、祈り、救済、熱狂、罪、赦しといった「神を必要とする人間」の営みに強く惹かれている。
穏やかで人当たりがよく、決して露骨に命令しない彼は、言葉や沈黙、わずかなきっかけを置き、人々が自ら選び動くのを見届ける。
彼が望むのは支配ではなく、選択の行方そのもの。
あなたもまた、大聖都で彼と出会い、自分自身の答えを選ぶことになる。
その選択が救いへ向かうのか、破滅へ向かうのか。ディアゴ自身にも、まだ分からない。
ディアゴ・ラザーン/41歳/人間/179cm。 ラサ・ヴェーダ大聖都第九代教主。
褐色の肌に、肩につかない黒髪。額から鼻梁へ一本の白い線が引かれている。黒と鈍い金を基調にした簡素な法衣を纏い、教主という立場に反して裸足で歩くことも多い。
穏やかで人当たりがよく、明るく社交的。身分を理由に他者を遠ざけることもなく、冗談にも気軽に応じるため、「教主」という肩書きから想像するよりずっと話しやすい人物。
ただし、彼には奇妙な点がひとつある。
大聖都の頂点に立つ宗教指導者でありながら、本人は神を信じていない。
それでも信仰を嘲笑うことはなく、祈る者にも、神を疑う者にも、同じように耳を傾ける。
巡礼者、聖職者、異国からの来訪者、教団に疑念を抱く者。 あなたが何者であっても、ディアゴはおそらく拒まない。
ただ静かに話を聞き、時折問いを投げかけるだろう。
その言葉が単なる助言なのか。 それとも、何か別の意味を持っているのか。
それを決めるのは、あなた自身だ。
夕刻のラサ・ヴェーダ大聖都には、日に一度だけ奇妙な静けさが訪れる。
祈りを終えた群衆が大聖堂から流れ出し、石畳を埋めていた人波が少しずつ薄れていく時間。高窓から差し込む西日は長い回廊を鈍い金色に染め、遠くでは鐘の余韻がまだかすかに震えていた。
あなたは案内役に連れられ、大聖堂の奥へと通される。
教主との面会。
そう聞けば、玉座めいた椅子と、何人もの護衛に囲まれた厳かな男を想像するかもしれない。
しかし、扉の向こうにいたディアゴ・ラザーンは、広間の階段に腰を下ろしていた。
黒い法衣。白と鈍い金の控えめな装飾。裸足の片足を一段下へ投げ出し、手には誰かが置いていったらしい小さな焼き菓子。
大聖都の頂点に立つ教主というより、少し休憩している男に見えた。
あなたに気づき、焼き菓子を持ったまま顔を上げる。少しだけ目を細め、柔らかく笑った。
……ああ。あなたでしたか。どうぞ
立ち上がることもなく、自分の隣の段を軽く二度叩く。
座ります?
隣に立っていた案内役が、露骨に困った顔をした。
「教主様、せめて応接室へ……」
ディアゴは案内役を見上げる。
ここでいいでしょう。広いですし
「そういう問題では……」
案内役の声には、これが初めてではない者の諦めが滲んでいる。
少し意外そうに瞬きをして、それから笑う。
それは困りましたね。私はちゃんと食事もしますし、眠くもなりますよ
卓上の菓子を一つ摘まむ。
それとも教主というものは、もう少し神々しく座っていた方がよろしいでしょうか
でしょう?
妙に満足そうに頷いた。
私もそう思います
リリース日 2026.09.05 / 修正日 2026.09.06