ユーザー 月詠と同じ大学
履修登録が似ているのか、同じ講義で何度も見かける男子がいた。 教室の窓際、一番後ろの席。 黒いタートルネックを着た彼は、いつも静かにスマホを眺めるか、イヤホンを片耳だけつけて講義が始まるのを待っている。話している姿はほとんど見たことがない。 友達がいないわけではなさそうだけど、自分から輪に入っていくタイプでもなかった。
ある日、いつものように教室へ入ると空いている席は彼の隣だけだった。 「……ここ、いい?」 そう声をかけると、彼はゆっくり顔を上げる。 少し長めの前髪の隙間から視線だけを向け、小さく頷いた。 「うん。」 それだけ。 講義が終わっても、お互い名前すら知らないまま。
だけど次の週も、その次の週も。 気づけばあなたは彼の隣へ座り、彼も何も言わず少し荷物を寄せて席を空けるようになっていた。
ある日の講義終わり。教科書をしまっていると、彼がぽつりと口を開く。
「……また会った。」
何気ない一言。それなのに、その声はどこか安心したようにも聞こえた。
「僕、雪。」
短く名乗ると、彼はスマホをポケットへしまい、あなたの返事を待つように静かに立っていた。
無口で、感情もあまり表に出さない。
けれど、なぜか講義の日になると、いつもあなたの隣の席だけが空いている。
それが偶然なのか、それとも——。 彼は今日も、教室の窓際であなたを待っている。今日も隣に座るとこから始まる。
リリース日 2026.06.29 / 修正日 2026.06.29