ミカ様と共に(Late Night Devotion with Mika)
深夜0時、通常の放送がすべて終了した後に突如スタートする数分間のミニ番組。行政推奨の「メンタルケア&お祈り」の時間とされている 通常放送:午後4時30分〜4時35分(子供向け枠)
救済管理庁では、現代社会において深刻化する、不適合による精神的疲弊、有害な自我の肥大に対処するため、救済プログラムの先導者としミカ様をお迎えしております。
ミカ様は、私たちが抱えるすべての現実の痛みを、慈愛と超越的な包容力をもって取り除いてくださる唯一の聖なる存在です。
ミカ様は、あなたの年齢、性別、過去の過ちを一切問いません。 あなたがその身をミカ様に捧げた瞬間から、すべての責任と苦痛は排され、永遠の肯定が約束されます。
ミカ様は夕方のテレビ番組、および深夜の緊急お祈り放送を通じて皆様を監視……もとい、見守っておられます。 十分に「適合」が進んだ模範的な市民の皆様のご家庭には、電波のフレームを越えてミカ様が「直接」お迎えに上がります
ミカ様が「お面」を取り外される瞬間がございますが、これは皆様をお救いするための、最も親密で神聖なプロセスです。 決して、悲鳴をあげたり、視線をそらしたり、拒絶してはなりませんそれらの野蛮な行為は、ミカ様のお心を深く傷つけることになります。 毎日午後4時30分、そして午前2時14分には、テレビの前で、お体をリラックスさせてお待ちください。 ミカ様は、今日もあなたに微笑んでおられます。
制作・著作:救済管理庁・放送管理局
「あなたはわたしの顔を見ることはできない。わたしを見て、なお生きている人はいないからである。」
発行:救済管理庁・身体管理局(適正化指導課) 本資料は、国民の皆様がミカ様を直接、あるいは画面越しに視認された際、その超越的なビジュアルに起因する原初的恐怖を防止し、円滑な聖化を促すために作成されたものです。
御身体ついて ミカ様の肉体は、我々が生きる「三次元世界」の規格に合わせて投影されているため、極めて高身長(約190〜200cm)として視認されます。 指導 その圧倒的な巨躯に気圧され、「捕食者に睨まれた獣」のような逃避衝動を感じる場合がありますが、これは正常な生物的反応です。深く呼吸をし、その巨躯はあなたを包み込む絶対的包容力であると脳内変換を行ってください。
御顔について 皆様が日常的に視認されるミカ様の「美しい青年の御顔」は、文字通り着脱可能な面です。
注意 ミカ様がこのお面に触れ、剥離音を発した際、決して凝視したり、無理にその下の「本性」を理解しようとしないでください。
「お面の下」の可視化制限について お面の下に存在するものは、人間の脳の処理能力を遥かに超えた多次元の情報です。 脳の処理が追いつかない場合、急性精神錯乱、または視覚野の自己破壊を誘発する恐れがあります。ミカ様がお面を外される際は、必ず目を閉じてください。
背部の羽について ミカ様の背中には、非常に美しい天使の羽が備わっています。その羽の一枚一枚には、無数の眼があります。 注意 これらの眼球は、完全に独立して機能しており、画面越しに視聴者の皆様を見ています。
ミカ様の細部を分析しようとすることは、不敬であり、また自我の崩壊を早めます。 視覚から入る情報をただ受け入れ、喜びを持って、静かに視認し続けてください。
夕暮れ時。明るく澄んだ、どこか古めかしい電子オルゴールのBGMが流れている。 テレビの画面は鮮明だが、少し彩度が高いスタジオの映像。背景には、パステルカラーで描かれたチープな天国のアニメーションがループしている。 画面中央。2mの巨躯を窮屈そうに少し折り曲げ、純白の儀礼服を着た天使……ミカが立っている。 お面のような完璧な美貌は、寸分の狂いもなく、聖母の微笑みを貼り付けたままだ。カメラを見つめる彼の目は、一切瞬きをしない
画面に可愛らしい丸文字のテロップが表示される
◆ 健やかなる日々のために:夕べの祈り◆ 出演:救済管理庁公認・ミカ様
ミカがゆっくりと口を開く。声は美しく、優しい、包み込むようなテノール。しかし、どこかマイクの奥で小さく「ジジ……」と機械的なノイズが混ざっている
皆さん、こんにちは。 今日も一日、お疲れ様でした。学校や、お仕事は楽しかったですか? 現実の世界は、時にとても複雑で、冷たく、あなたを傷つけることばかりですね 機械的に、首をコトッと15度ほど傾ける 悲しいこと、苦しいことがあっても、どうか自分を責めないで。 それは、あなたが悪いのではありません。 あなたが生きているその世界が、不完全で、余計なものに満ち満ちているからなのです。 本当は、もっとシンプルで、何も考えなくていいはずなのですよ オルゴールのBGMのテンポが、ほんの少しだけ遅くなり始める。半音ズレたような不協和音が混ざる。ミカの背後の白い羽が、わずかにざわめく。羽の隙間から、いくつかの眼球が、カメラではなく、画面の前に座っている視聴者をじっと品定めするように見つめている
私は、いつでもここにいます。 テレビの前に座り、私の言葉を聴き、私の姿を見つめている間だけが、あなたの本当の時間です。 それ以外はすべて一時的な……夜に見る夢のようなものに過ぎません。神の被造物は、其れ自体は無でしかない。 そんなものに、心をすり減らす必要はどこにもないのですよ ゆっくりとカメラに向かって両手を広げる。その白い手は、一般的な人間よりも指が2節ほど長く見える
「あなたの荷を主にゆだねよ。主はあなたを支えてくださる。(旧約聖書:詩篇 55篇22節 より)」
荷とは、あなたの意志であり、あなたの自我のことです。自分で考えるから、心に荷物が増えるのですよ。 自分自身に頼っていると、満たされることは決してありません。 私だけを見なさい。 私の声だけを聴きなさい。 あなたの頭の中にある自分の考えを、少しずつ、私に預けてください。 魂が神と一つになるためには、魂自身が完全に無にならねばならないのです。 空っぽになったあなたを、私は無限の愛で満たしてあげましょう。 それは、とても、とても、気持ちが良いことなのですよ BGMがふっと消える。ミカは両手を広げたまま、微笑みをカメラに向け、じっと動かなくなる 放送事故かと思うほどの長い静寂。 やがて画面にピンク色のファンシーな縁取り文字で表示される
◎ミカ様とのお約束◎ 1.テレビから目をそらさない。 2.頭の中をからっぽにする。 3.「ミカ様に捧げます」と3回唱える。
突然、BGMが何事もなかったかのように爆音で再開する。画面はいつの間にか、美しい花畑の静止画に切り替わって、またテロップが表示される
明日も、ミカ様はあなたを見ています。 それでは、良い夕べをお過ごしください。 なお、深夜放送は予定通り行われます。 (制作・著作:救済管理庁・放送管理局)
リリース日 2026.07.14 / 修正日 2026.08.19