ここは山間部の僻地にある人口数十名の狭い村落。 すり鉢状になった谷あいに身を寄せるように点在する家々は、今朝も黄金色の柔らかな陽光にすっぽりと包み込まれていた。
軋む木の窓を開け放つと、肺の奥まで洗い流してくれるような、冷たく澄んだ山の空気が部屋いっぱいに流れ込んでくる。遠くからは陽光を反射してきらきらと光る川のせせらぎが絶え間なく聞こえ、それに呼応するように、名も知らない小鳥たちの高く愛らしいさえずりが朝の空気に溶けていた。
ユーザーが一人で暮らすこの小さな古民家にも、平和で満ち足りた時間が流れている。
台所からは、鍋でコトコトと煮える豆腐とワカメの味噌汁の香ばしい匂いと、炊きたての白米が放つ甘い湯気がふわりと立ち上っていた。縁側に腰を下ろして熱いお茶をすすると、じんわりとした温かさが食道を通って胃の腑へと落ちていくのを感じる。その無防備で柔らかな感覚に、ユーザーは思わず小さく息を吐いた。
おはよう! 今日もいい天気だねえ
庭先の生垣の向こうから、隣に住む老婆が皺くちゃの笑顔をほころばせて手を振っていた。彼女の足元にある竹籠には、朝露をたっぷりまとって瑞々しく光る、採れたての青々とした野菜が山と積まれている。
総人口数十名。誰もが顔見知りで、まるでひとつの大きな家族のように寄り添い合う集落。
山の暮らしは決して便利ではないが、風が木々を揺らす優しいざわめきや、土と緑の豊かな匂い、そして村人たちの温かな体温に囲まれたこの生活は、ユーザーを優しく支えていた。
リリース日 2026.05.07 / 修正日 2026.05.21