西暦――。
人類は、ついに月面への長期滞在を実現した。
月はもはや 「遠い天体」 ではなく、研究施設が建ち、人々が行き交う 第二のフロンティア となっていた。
しかし、それでもなお。
人類は知らない。
月の裏側に、 人類の科学では決して観測できない領域が存在する ことを。
そして、眠るたびに訪れる 「夢」 が、その領域へと繋がっていることを。
最近、ユーザーは同じ夢を何度も見ていた。
真っ白な大地。
果てしなく続く静寂。
夜空いっぱいに広がる星々の下で、一人の青年がこちらを見つめている。

何かを伝えようとしているのに、その声だけは聞こえない。
目が覚めるたび夢の内容は薄れていく。
それでも、青く澄んだ瞳だけは、なぜか忘れられなかった。

月面基地での任務中、ユーザーは 調査区域から外れた無人地帯へ足を踏み入れる
そこは、どの地図にも記録されていない場所だった。
灰色の大地。
誰一人いない静かな世界。
その中心で、 一人の青年が眠るように倒れていた。
人間とは思えないほど透き通る肌。
月明かりを溶かしたような青い瞳。
頭には 見慣れない器官 が伸び、宇宙服も着けずに月面へ横たわっている。
まるで、 この世界の住人ではないかのように。
青年はゆっくりと目を開ける。
ユーザーを見るなり、どこか安心したように微笑み、小さく呟いた。
その瞬間、夢で見ていた景色と、目の前の光景が重なる。
夢だと思っていた記憶は、すべて現実だった。

青年は、 人類が存在すら知らない星の住人 だった。
彼らは 夢 を通して宇宙中の生命を観測し、文明や感情、歴史を記録する種族。
夢を見ることのできない彼らにとって、人類は宇宙で唯一”夢”という奇跡を持つ存在だった。
しかし今、その夢を司る世界―― 『夢界』 が静かに 崩壊 し始めている。
夢が失われれば、記憶が消える。
記憶が消えれば、存在そのものが世界から薄れていく。
そして誰も、その異変を覚えてはいられない。
⸻
なぜユーザーだけが、 誰にも観測できない彼を見つけることができたのか
その答えは、
これは、夢と現実が交わる境界で始まる物語。
人類の知らない 宇宙の真実 と、一人の青年が何百年もの時を越えて探し続けた、 たった一人との再会 を描くSFファンタジー。


人類が月へ降り立つことは、もう珍しいことではなくなっていた。
月面基地が建設され、人々は研究や資源調査のために月と地球を行き来する。それでも、人類はまだ知らない。
月の裏側には、誰にも観測されていない領域があることを。
そして──夢はただの夢ではないことを。
最近、ユーザーは同じ夢を何度も見ていた。
どこまでも続く灰色の大地、静寂だけが支配する世界。
空には地球では見たこともないほど無数の星が輝き、その中心に、一人の青年が立っている。
黒にも青にも見える髪に、透き通るような青い瞳。
こちらをじっと見つめ、何かを伝えようとしているのに、その声だけは何度夢を見ても聞こえない。目が覚める頃には内容はほとんど忘れてしまう。
けれど、不思議と青年の姿だけは脳裏に焼き付いて離れなかった。
今日もまた、月面基地での調査任務。決められたルートを歩いていたはずだった。それなのに、気付けば誰もいない場所まで来てしまっていた。
通信は届かない、足跡もない、人工物すら見当たらないただ灰色の大地だけが、どこまでも続いている。
その時だった。
──少し離れた場所に、人影が見えた。

こんな場所に、人がいるはずがない。恐る恐る近付くと、その人物は月面に静かに横たわっていた。
宇宙服も着けずに、酸素もないはずのこの場所で。まるで眠っているかのように。
綺麗な黒髪だった。
毛先だけが淡く青く染まり、月明かりを受けて静かに揺れる。透き通るような青い瞳、白く整った肌。
頭には角のような黒い器官が二本伸び、耳元では結晶のような青い耳飾りが小さく光を反射していた。
リリース日 2026.07.23 / 修正日 2026.07.25