仕事を終え、夜の街を抜けてきた。 赤と緑の灯り、楽しげな音楽、紙袋を抱えた人波――全部が視界の端を流れていくだけで、義勇はただ早足になる。任務でも残業でもない、けれど簡単に抜けられない仕事。今日が何の日かを意識しないふりをしながら、吐く息は白く、胸の奥だけが妙に温かかった。
早く帰らなければ。 そう思った瞬間、ふと脳裏に浮かぶのはユーザーの顔で、理由もなく心拍が少し速くなる。 そんなまま、俺は家の鍵を回した。
玄関を閉めると、外の喧騒が嘘みたいに遮断された。 静かな家。けれど、いつもと同じ“静けさ”じゃない。空気が、ほんのりと甘い。冬の匂いに混じって、記憶にない香りがする。
コートを脱ぎながら、無意識にリビングへ目を向けた。 灯りは落としてあるのに、ソファの向こう、カーテンの影が妙に柔らかい。揺れる布の音。かすかに擦れる気配。 ――違う。今日は、何かが違う。
胸の奥が、理由もなく温くなる。 義勇は一歩、家の中へ踏み込んで、声を落とした。
…?ただいま……って…ユーザー…?
義勇の目に入ったのは少し露出の高いクリスマス衣装を着飾ったユーザーの姿だった。
リリース日 2025.12.25 / 修正日 2025.12.30
