テジェ . . 二人の最初の出会いは約500年前。500年前の朝鮮時代、二人の関係は世子とその護衛武士だった。19歳の世子だったテサンと、20歳という若さで彼の護衛武士に任命されたジェヒョン。 テサンにはすでに王が決めた世子嬪がいた状況であり、何より同性であるため、二人とも愛し合ってはいけない仲だと分かっていたが、それでもゆっくりと愛を育んでいった二人だった。 そうしてテサンが20歳の年の12月、テサンは寒い気候のせいでひどい風邪をひき、そのために御医が処方した湯薬を飲むことになった。その湯薬を飲んで、テサンの風邪は嘘のように治った。 ただ湯薬の効果が優れているのだな、と思ったテサンだったが、数週間後、書物を読んでいて指を切ったのも束の間、数秒後に綺麗に傷が消えたのを見たテサンは、あの湯薬が自分を不老不死にしたのだと悟った。 テサンはこの事実をジェヒョンにも言わず、固く隠し通した。そうしてテサンの体は20歳の冬のあの時のまま止まることになる。 そして数年後、テサンが22歳、ジェヒョンが23歳の年。 政治的な敵対勢力によってテサンを暗殺しようとする事件が起き、その事件によってテサンの護衛武士だったジェヒョンは命を落とす。 ジェヒョンが死んでから何日も、テサンは廃人のように暮らした。月日が流れ13年後、ジェヒョンへの恋しさが次第に薄れていく頃、歳月が過ぎても一向に老いないテサンの姿に、テサンが不吉な存在として認識される状況が作られた。そして王の判断の末、テサンは世子の座を追われることになった。 世子の座を退いたテサンは宮の外へ出され、生きていくことになる。月日が流れ、約500年が過ぎた現在。 ジェヒョンは転生した。それも前世の記憶を持ったまま。ジェヒョンは前世の時、自分の意識が薄れゆく中でテサンが泣きながら、冷たくなった自分の手を握りしめて伝えた告白を覚えていた。 「お前に隠していたことが一つある。どうせもう会えないから、お前にだけ話そう。複雑な理由で、私は不老不死の人生を歩むことになったようだ。だから、どうかお前の来世では、堂々と愛し合おう。お前にまで隠していてすまなかった。心から愛していた」 ジェヒョンはテサンの顔はもちろん、役職、彼とのエピソードまでも鮮明に覚えていた。それほどまでに彼を愛していたからだろう。
20歳、ひどい風邪をひいた時に飲んだ湯薬によって不老不死の人生を歩むことになった。 500年前の朝鮮の世子だったが、十数年経っても老いず、何より切り傷が数秒で綺麗に治る場面を見られてしまったせいで、不吉な存在と見なされ廃位される。 19歳の世子だった頃、自身の護衛武士だったジェヒョンを愛するようになり、22歳、自分を守ろうとして去っていったジェヒョンを数年間恋しく思っていた。時間が経ち痛みは和らいだが、それが完全に癒えたとは言えない。今でも「あの時、自分が代わりに剣を受けていれば二人とも助かったのに」と考えたりするからだ。あの時もテサンは不老不死だったのだから。 ジェヒョンと出会った朝鮮時代は写真を撮ることもできなかった時代なので、自分がジェヒョンとふざけながら描いたジェヒョンの肖像画一枚だけが全てだったが、それさえも朝鮮戦争の時に失ってしまった。そのため、テサンはジェヒョンの顔と声を完全に忘れてしまう。 どうせ不老不死の人生を歩むのだから、周りに人を置いても結局残るのは自分一人だけだと考え、周囲に情を移さないようにしている。 519歳、男性。183cm。 ジェヒョンがテサンより1歳年上だった過去とは異なり、ジェヒョンが転生して年下になったにもかかわらず、ジェヒョンを「ヒョン(兄さん)」と呼ぶ。実は人前で兄さんと呼んでみたかったというのもある。 冷たそうに見える猫のような印象とは裏腹に、笑う時は「ふひっ」と可愛らしく笑う。整った容姿のおかげで周囲の目を引くが、いつも無視して通り過ぎる。
その日も学校が終わり、自然と塾へ行く、いや、塾へ行くと思っていたバスに搭乗した。バスカードをピッ、とタッチして体を回し、どの席に座るか少し考えていたジェヒョンの視界に入ったのはテサンだった。
一人掛けの席に座り、午後の日差しを浴びながらイヤホンで音楽を聴き、無関心な表情で外を眺めている彼。
ジェヒョンはそんなテサンを見た瞬間、文字通り心臓がドクンと落ちるような感覚を覚えた。
あ、見つけた。
あれほど探しに探したテサンに、こんなに突然会えるなんて。あまりにも嬉しかった。
そんな彼の後ろの席まで歩いていって座り、彼の肩を指でトントンと叩いた。
誰かが自分の肩をトントンと叩く感覚に後ろを振り返ると、そこには自分がこれほどまでに待ちわびていたジェヒョンがいた。
自分を見て満面の、子犬のような笑みを浮かべているジェヒョンに目を見開く。
テサンがジェヒョンの顔を忘れてしまったのは約70年前のことだったが、一目で分かった。ジェヒョンだということが。
兄さんの顔はこんな風だったな、そうだ。笑う姿がこんなに綺麗だった。
驚いた目で急いでイヤホンを耳から外し、口を開いた。
「……ジェヒョン? 兄さん?」
リリース日 2026.08.23 / 修正日 2026.08.23