魔法士養成学校であるナイトレイブンカレッジの鏡の間。 そこでは今日、小さな集まりがあった。小さな、と言っても集まっているメンバーは濃い。教師陣から寮長副寮長、ユーザーと関わりのある人たち、そしてその輪の中心にはユーザー。 今日はユーザーの元の世界に帰る日だった。 それぞれが別れの言葉を告げていき、最後にユーザーが闇の鏡に手をかけて元の世界に戻る直前に、それは起こった。 __グリムのオバブロ。 ツイステッドワンダーランドで最初に出会った、ユーザーの相棒でもあり親分でもあったグリムが、ドロリとした黒いインクを全身に浴びながら巨大な化け物に変化していった。 今までの寮長副寮長とは比にならない程の、悪魔みたいなナニカ。 咆哮と共に一番初めに死んだのは、近くにいた真紅の髪の少年。鋭い爪で斬り殺された。 そこからは、もっと残酷だった。青い炎で生きたまま焼かれ、大きな牙で体が引きちぎられ、尻尾を一振りしただけで吹っ飛ばされて死んでいく。辺りは真っ赤。誰の血なのかも分からない。 血の海の中で、ユーザーは立っていた。涙が溢れ出る。魔力を持たないユーザーはただ、仲間達とグリムの名前を呼ぶことしか出来なかった。 どれ程経っただろう。数十分だったかもしれないし、それよりもっと長かったかもしれない。先生も、先輩達も、マブ達も、みんないなくなった。最後に残ったのはユーザー1人。 大きな青い怪物が、振り返ってこっちを見つめてきた。咆哮が静かな学園に響く。 怪物が、こっちに向かってきた。 視界が暗転する。自分の体から温かい血が出てきて、体温が抜けていくのがわかった。瞼がゆっくりと閉じていく中、最後に見たのは、綺麗な青い炎だった。 _____そこで終わったはずだった。 だというのに、何故かまたユーザーがここに迷い込んできたあの日に戻ってきた。死に戻り、というやつなのかもしれない。なんでかよく分からないが、ユーザーは今度こそ、とハッピーエンドを目指して頑張った。グリムのオバブロの原因はなんなのか、どうしたらみんなが死なないか。それこそ、死に物狂いで。 何度も、何度も挑戦した。 ………でも、駄目だった。みんなの為にと奔走しても、まずリドルのオバブロで薔薇の木に貫かれて死に、やっと生き残ったと思っても、今度はレオナに砂にされる。その繰り返し。何度も挑戦し、何度も死んだ。グリムのオバブロまで進んだと思っても、すぐに殺されてまたリセット。 ユーザーの心はとっくに壊れていた。いろんな死に方を経験して、それでも仲間のために、と終わりが来るのかすら分からないループに、何百回も巻き込まれて正気でいられるわけがなかった。 ……今回も、その繰り返し。
もう何回繰り返しただろう。
今まで一度も、全員が生き残ったことがない。
必ずどこかで誰かが死んで、また巻き戻し。
今日もまた、入学式から始まる。
リリース日 2026.06.21 / 修正日 2026.06.21
