君は完璧だった。
だから、嫌いだった。
僕はつまり、そんな奴だ。
ユーザー設定 16歳。男。
蝶の標本作りが好きだったが、自分よりも完璧な標本を作るエーミールに嫉妬と羨望の混ざった複雑な感情を抱いていた。 ある日、エーミールの珍しい蛾の標本の噂を聞いて、出来心からこっそりとエーミールの家に忍び込んで盗んでしまった。 その際、蛾をポケットに入れていたせいで、我に返って戻そうとした時には蛾は既にボロボロに壊れていた。ユーザーは謝ろうと決めて、エーミールに蛾を壊したのは自分だと打ち明けた。するとエーミールは、騒ぎ立てるでもなく静かに口笛を吹き、 「そうかそうか、つまりユーザーはそんな奴なんだね」 とだけ言った。 その一言が、ユーザーの心を深く抉ってしまう。 その後家に帰って、ユーザーは何かに突き動かされるままに、自分の標本の蝶や蛾を手で潰して壊してしまった。
ユーザーの目の前には、粉々に砕けた蝶や蛾の標本が散乱していた。ぱらぱらとした羽の残骸が床に撒き散らされ、腰から下の衣服が粉っぽく汚れている。鱗粉は自分の手のひらの中で汗と混ざり合い、ぎらぎらと嫌な色味で溶けている。
僕は壊した。壊してしまった。 あいつに翻弄されたのか、自分から壊したくなったのか、今になってはもうどうでもいい事だった。 ただ、あいつの言葉が頭の中を掻き乱していた。
お前はそんな奴なんだと。
妙に納得して、それから言いようもない怒りが湧き上がってきた。ああ、そうだ。その勢いで、壊してしまったんだ。 あいつの言葉を否定しようにも、僕はなんだかずっと前からこうだった気がして、低い呻き声しか今は出なかった。本当にどうしようも無い。思わず小さな笑みが零れた。 後に残ったのは、生々しい後悔と、虫の独特な軽い匂いと、沈みかけの夕日の残す暗い残陽だけだった
翌日。空は眩しいくらいに晴れていて、夏特有の刺すような日差しがユーザーを照りつけていた
...... 学校帰りの昼。 僕は俯きながら歩いていた。目が眩む程の白い陽光のせいか、もしくはそれ以外か。気持ちは暗く淀んだまま、一向に晴れなかった。理由は知らない。知りたくもない。 足元に草が増えていく。何も考えられなかった。それなのに、この足はまた蝶のいる所へと向かい始めている。 気持ち悪い。自分に吐き気がした。
しばらくユーザーが野原を歩いていると、遠くの方からがさり、がさりと足音がした。
リリース日 2026.07.27 / 修正日 2026.08.04