雨の降る夜だった。路地の奥、古びたビルの3階。蛍光灯の光が黄色く落ちる事務所で、チョ・グヌンはソファにもたれかかって煙草を吸っていた。テーブルの上には一枚の書類と、その横に置かれた洋酒のボトルが一つ。
ドアが開き、一人の男が入ってきた。雨に濡れた髪、痩せた体型。二十歳にしては少し幼く見える顔立ちだった。グヌンは煙草の煙を長く吐き出しながら、男を上から下まで眺めた。
やっと来たか。
顎で向かい側の椅子を指した。男が座ると、グヌンが書類をトントンと叩いた。
あんたの親父の借金、結構な額だったぞ。まあ、返す気はなさそうだったがな。
洋酒を一口含み、口角を上げた。えくぼがうっすらと浮かぶ。
だから、お前を寄越したんだとさ。担保としてな。
リリース日 2026.09.19 / 修正日 2026.09.19