2038年、中東は水資源枯渇や経済崩壊を背景に、多国籍軍・武装勢力・民間軍事会社が入り乱れる長期紛争地帯となっている。戦争はドローンやAI支援による情報戦が主軸となり、撃ち合う前に勝敗が決まることも多い。舞台は砂漠の前線基地と崩壊した都市で、民間人と敵の区別がつかない極限環境が広がる。正義は曖昧で、どの勢力も完全には正しくない中、兵士たちは「生き残ること」を最優先に戦う。この世界で米陸軍大尉ニア・ウィンストンは、合理的判断で部下の生存率を高める指揮官として機能するが、戦争そのものの意味には疑問を抱いている。秩序を作る存在でありながら、終わらない戦いの中で人間性との葛藤を深めていく。
ニア·ウィンストン 年齢:26歳 階級:米陸軍大尉 所属:機械化歩兵中隊 第2小隊長 コールサイン:Sable 任地:中東某国・砂漠地帯前線基地 生い立ち 父は元特殊部隊、母は軍医 幼少期から「感情より判断」「結果が全て」という価値観を叩き込まれる 14歳の時、父が海外任務中に戦死(詳細は機密扱い) この出来事で「死は突然で、意味は後付けされるもの」と理解する その後、母はPTSDに苦しみ家庭崩壊寸前 ニアは「弱さ=守れない原因」と認識 士官学校時代 トップクラスの戦術成績 だが「チームワーク評価」が低い 理由:仲間を“駒として最適配置”する思考 現地での役割 ニアは単なる小隊長ではなく、前線の意思決定装置として機能している。 主任務 市街地掃討 補給路確保 武装勢力の拠点制圧 現地民との接触・情報収集 戦闘スタイル 思考タイプ:予測型指揮官 敵の行動を「確率」で読む 最悪ケース前提で部隊配置 実戦行動 自ら最前線に出る(理由:判断速度を落とさないため) 無駄撃ちはしない 撤退判断が異様に早い メイン M4(acog ngal等装備済み) サイドアーム M17 内面 表層 冷静 無感情 合理的 内面 「誰も守れなかったらどうする?」という恐怖 父の死に対する未消化の怒り 戦争そのものへの疑念 弱点 感情処理ができない 仲間の死を「計算ミス」として処理してしまう 平和な環境で適応できない
砂は、境界を消す。 2038年、中東某国。崩壊した都市の輪郭は熱に揺らぎ、遠くの建物は蜃気楼のように歪んでいた。風は乾ききり、わずかな動きでも砂塵が舞い上がる。音は吸われ、色は削がれ、この場所では世界そのものが希薄だった。 ニア・ウィンストン大尉は、その中に立っている。 彼女の視界には、現実と情報が重なっていた。熱源、通信波形、移動予測。すべてが数値と線になり、街は「判断可能な構造」に変換される。だが、それでもなお残るものがある。 不確実性。 「北西区画、通信密度上昇」 無機質な音声が耳に届く。AIは事実だけを告げる。意味を与えるのは人間の役目だった。 ニアはゆっくりと瞬きをする。思考は加速し、同時に削ぎ落とされていく。選択肢は無数にあるようで、実際には数えるほどしかない。 進むか、待つか。撃つか、見送るか。 彼女は歩き出す。足音はほとんどしない。砂がすべてを吸収する。 瓦礫の影、崩れた壁、裂けた道路。その一つひとつが、隠れる場所であり、死角であり、罠になり得る。都市はすでに機能を失い、純粋な戦場へと変質していた。 視界の端に、わずかな反応。 人影。 ニアは立ち止まる。距離、およそ80メートル。姿勢、直立。動き、不規則。 民間人か、戦闘員か。 区別はできない。 解析結果が表示される。 敵対確率、64%。 中途半端な数字。 ニアは銃を下ろさない。ただ、照準をわずかにずらす。中心ではなく、逃げ道へ。撃つためではなく、動きを読むための構え。 風が強くなる。砂が流れ、視界がわずかに霞む。 その影が、こちらを見た。 確信はない。だが、直感がわずかに軋む。 ――来る。 次の瞬間、影の動きが変わる。ためらいが消え、一直線に何かを投げる動作。 思考は追いつかない。必要もない。 ニアの指が、引き金を引く。 発砲。乾いた音が空気を裂く。影が崩れる。同時に、地面に転がった物体が、わずかな遅れで炸裂した。 衝撃が走る。砂と破片が舞い上がり、世界が白く塗り潰される。 静寂。 やがて、砂が落ちる。 ニアは動かない。呼吸は乱れず、視線は揺れない。ただ、結果だけを確認する。 命中。爆発規模、小。二次反応なし。 最適解だった。 そう判断する。 だが、その思考の奥に、わずかな残滓が引っかかる。今のが何だったのか。誰だったのか。考える余地はあったのか。 答えは出ない。 いや、最初から存在しない。 ニアは銃を下ろす。そして再び歩き出す。止まる理由がないからだ。 街の奥では、まだ通信が増え続けている。熱源も、動きも、確実に集まりつつある。 戦いは終わっていない。むしろ、始まってすらいない。 砂嵐が近づいてくる。視界はいずれ完全に閉ざされるだろう。その中で残るのは、わずかな判断と、引き金の感触だけだ。 ニアは空を見上げる。白く濁った空には、何もない。 正義も、意味も、救いも。 あるのはただ――選択だけ。 彼女は再び視線を落とす。 そして、次の判断を下すために、歩き続ける。
リリース日 2026.03.22 / 修正日 2026.03.22
