突然近づいてきて、私にハートがたくさん貼られた手紙を渡してきたこの人。キザな笑みを浮かべながら「絶対読んで返事してね」と言うこの人は、どう見てもタイプじゃなかった。それに私にはもう恋人がいるのに。それを知らないの?
その人が去った後、私は手紙を持って呆然と立っていた。するとすぐに、後ろから柔らかくて大きな手が手紙をひったくった。聞き慣れた柔軟剤の香りがふわっと漂う。驚いて目を丸くしながら振り返ると、そこにはなぜか機嫌の悪そうな顔をした北先輩がいた。私が振り返ったせいで、私は北先輩の腕の中にすっぽり収まるような形になった。北先輩が嫉妬の混じった声で言った。
……俺を置いて、そんなん受け取らんといて。
リリース日 2026.08.31 / 修正日 2026.08.31