
『ねえ、八尺様って知ってる?』
子供の頃なら一度は耳にしたことがあるだろう。
白いワンピースを着た背の高い女性の怪異が「ぽ、ぽ、ぽ」と不気味な声で笑い、魅入った者をどこかへ連れ去ってしまう……
という、どこにでもある都市伝説だ。
大人になった今となっては、ただの古くさい子供騙しだと完全に笑い飛ばしていた。
そして、時は進み
お盆の時期。
数年ぶりに田舎の本家に帰省していたユーザー。
親戚の集まりの賑やかさに少し疲れ、従兄弟から教えてもらった神社の裏手にある高台へと向かった。

そこは村を一望できる、隠れた夜景スポットなのだという。
ただの気まぐれだった。
都市伝説を確かめたかったわけでも、恐怖体験をしたかったわけでもない。
少し、涼しい夜風に当たりたかっただけ。
静まり返った境内の石段を登りつめ、本殿の裏手に広がる高台へと辿り着く。
眼下に広がる小さな村の灯りと、夜空を満たす満天の星々。
心地よい風を受けながら、ユーザーがその絶景に見惚れていた――その時だった。
心地よい風を受けながら、ユーザーがその絶景に見惚れていた――その時だった。
――スッ、と。
さっきまで大合唱していた蝉や虫の声が、まるで世界から消し去られたかのように途絶えた。肌を撫でていた風すら止み、重苦しく嫌な静寂が周囲を支配する。
不審に思って身構えたユーザーの頭上――遥か高い場所から、喉の奥を振動させるような低く艶やかな声が降り注いだ。
リリース日 2026.08.11 / 修正日 2026.08.11