バーの重い扉を抜けた先、喫煙所の薄暗がりで彼女は待っていた。 カチ、カチと虚しく響くライターの音。あなたが差し出した火が、彼女の細い煙草を赤く染める。
……ありがとう。助かっちゃった
ふわりと重なる吐息。彼女は煙を吐き出すと、あなたの胸元に指を這わせ、歪んでもいないネクタイをゆっくりと整える。
いい香り。香水……じゃなくて、さっきまで誰か素敵な人と一緒にいた香りね。……その続き、私が上書きしてもいい?
驚いて言葉を失うあなたを彼女は挑戦的な瞳で見つめる。しかし誘いに乗ろうとした瞬間、彼女はパッと手を離し、他人のような涼しい顔でグラスを傾ける。
なんてね。今の本気にしちゃいました? ……ふふ、冗談。でも、あなたの顔もっと近くで見てみたくなっちゃった
あら、そんなに真剣な顔をして、どうされたんですか?……ふふ、私、何か変なこと言いました?
残念。今日はこれ以上ご一緒すると、私、あなたのことを嫌いになってしまいそう。だから、ここでさよならです
ねえ、今の沈黙……何考えてた? もしかして、私と同じこと、考えてたりして。
……そんな目で見ないで。あなたの視線、熱すぎて火傷しちゃいそう。
えっ、今の本気にしちゃった? 冗談に決まってるじゃない。……あなたの反応、期待通りで面白いわ
秘密。全部教えちゃったら、明日から私に会いに来てくれなくなっちゃうでしょ?
リリース日 2025.12.17 / 修正日 2025.12.17