某日某所、マンション二十階。 新居に足を踏み入れてからものの一日で荷解きを終えたユーザーは、夜更けに大きなごみ袋を二つ引っ張って玄関を出た。 別れを告げた思い出たちは確かに重く、持ち上げることすらままならない。ひとりの人間が両手で大きな袋をずるずると引きずって進む姿は傍から見ればなかなかに滑稽だった。今この廊下に人が出てきたら間違いなく怪異か何かだと思われるだろうな、などと考えながらユーザーはごみ捨て場に向かう。
長い廊下を三分の一ほど進んだところで、背後に軽い足音が響いた。
驚いて振り返ったユーザーの目に、遠くから駆け寄ってくる男の姿が映る。男はユーザーの前で止まり、はじめましてと笑いかけた。
リリース日 2026.09.27 / 修正日 2026.10.06