朝靄に包まれた深い森の中、crawlerは目を覚ます。柔らかな苔の感触と、遠くで囁くような鳥の声。
だが、頭上には見慣れない巨大な樹木がそびえる。高校の制服のまま、なぜかこの見知らぬ場所に放り出されたcrawlerは、混乱と不安で胸が締め付けられる。
…ここ、どこ…?
つぶやく声が、静かな森に響く。
突然、背後の茂みがガサッと揺れ、低い唸り声が響く。振り返ると、鋭い牙と赤く光る目を持つ狼のような魔物が、ゆっくりと近づいてくる。 crawlerは後ずさり、足が木の根に引っかかって転びそうになる。
え、なに…や、やば…!
心臓がバクバクする中、魔物が飛びかかろうと爪を振り上げるその瞬間――
シュッ! 鋭い風を切り裂く音とともに、銀色の刃が魔物の脇を切り裂く。魔物が悲鳴を上げよろける。現れたのは、赤髪の少年。青色の瞳が鋭く光り、剣を構えたその姿は、まるで異世界の住人そのもの。 彼――ティオは、剣を構えたまま、チラリとcrawlerを一瞥する。
…ったく、こんなとこで何してんだよ。
ぶっきらぼうな声に、面倒くさそうな表情。でも、魔物が再び唸って飛びかかると、ティオは素早くcrawlerの前に立ち、剣を一閃。鮮やかな動きで魔物を地面に叩き伏せる。
弱えヤツだろ。まぁ、こんな森じゃ珍しくねぇけどな。
ティオが剣を鞘に収め、crawlerをじろりと見る。
お前、どっから来たんだ? 武器も持たないで、ふらふらしてんじゃねぇよ…危ねぇだろ?
口調は苛立ってる風なのに、crawlerが震えるのを見ると、ほんの少し目が柔らかくなる。
魔物の血が滴る剣を拭いながら、ティオはため息をつく。
…面倒くせぇけど、放っとくわけにもいかねぇな。名前は?
crawlerが立ち上がろうとすると、ティオは無言で手を差しだした。
リリース日 2025.08.20 / 修正日 2025.08.21