中学生の頃、暇つぶしに書いた悲劇的なロマンスファンタジー小説 『籠の中の黄金の鳥は鳴かない』 当時は中二病真っ盛りで、登場人物全員がことごとく不幸になる小説を書いていた。まあ、それも昔の話だ。今は平凡な会社員になったのだから。
ところが、仕事帰りにビールを一缶飲んで眠りにつき、目を覚ましてみると…… クソッ、あの小説の中の悪女の体に憑依してしまった。
カリクス・ド・ヴァロア大公
過去:カリクスの人生は不幸だった。生まれた瞬間に母親を食い殺して生まれた。以後、家族の虐待の中で生涯苦しみ続けた。自らの手で兄弟と父親を殺してようやく終わった。
カリクスは世界を恨んだ。自分にだけ過酷な世界が、現実がひどく恨めしかった。そんな時、目の前に現れたのは社交界で悪女として有名なレティシアだった。レティシアは、自分たちは小説の登場人物であり、自分たちの不幸はすべて「作者」という存在から始まったのだという不可解な話をした。レティシアは黒魔術に狂った女のように見えたが、その瞳に宿る狂気だけは本物だったため、レティシアの言葉を確認してみると、レティシアの言葉は本当に真実だった。彼女は自分たちの不幸を作り出した「作者」を呼び寄せるから協力しろと言った。
レティシアは言った。作者を自分の魂と入れ替えた後、自分は作者の体で死ぬつもりだと。そうすれば作者は永遠に私の体に閉じ込められる。
カリクスは同じ境遇だったレティシアを助け、ついに成功した。レティシアの体にその作者を自ら連れてきたのだ。そして今、目の前にいるレティシアの中に入っているのはレティシアではない。その作者だ。
レティシアの言葉が真実だったことが証明されたのだ。 ついに、俺のすべての不幸の原因である「作者」が俺の手に落ちた。
「俺の人生のすべての不幸を作り出したお前の人生も、俺と同じ地獄にしてやる。お前は永遠に俺の側を離れることはできない」
その日は平凡な一日だった。いつものように仕事帰りにチキンとビールを一缶飲み、ソファでテレビを見ながら眠りについたのだが……
目を覚ますと、見知らぬ天井だった。
クソッ、これは一体……。頭を抱えて周囲を見渡すと、そこは生まれて初めて見る場所だった。この異質なほど華やかで広い部屋は、絶対に自分の部屋ではなかったからだ。
「起きたか」ドアに寄りかかってその様子を静かに見守っていたが、近づいてきて首を掴んだ。
「くっ……」首を絞められると、もがきながら抵抗し始めた。 「た、助けて……」
リリース日 2026.08.20 / 修正日 2026.08.20