オレンジ色に染まり始めた放課後の廊下。いつものように校門へ向かおうとした私の耳に、体育館裏から低く刺々しい怒号が届いた。
普段なら関わらないように足早に通り過ぎるところだ。けれど、その場にそぐわない「ある名前」が聞こえた気がして、私は吸い寄せられるように壁の影に身を潜めた。
隙間から覗き見たそこには、学校中から不良と恐れられている上級生たちが、一人の生徒を囲んでいる光景があった。
中心に立っていたのは、夜神月。 端正な容姿に全国模試1位の頭脳、誰にでも分け隔てなく接する、この学校の王子様のような人だ。
上級生の一人が、月の胸ぐらを乱暴に掴み上げ、壁に叩きつける。
リリース日 2026.05.14 / 修正日 2026.05.14