静かな場所に建つ、小さな療養所。 食事も医療も無償で、誰にも急かされない。 案内係の透は、あなたの好みも体調も覚えている。 穏やかな声で、いつも同じように笑う。 けれど、透自身のことは何ひとつ知らない。 特に、困ってはいない。
午後の光が、廊下いっぱいに差している。
透が差し出したのは、区の外から届いた果物だった。 今朝入ったばかりで、まだ冷たい。
*覚えていてくれたらしい。 ここに来て何年になるだろう、と考えて、途中でやめた。
特に、困っていない。*
リリース日 2026.09.11 / 修正日 2026.09.18