そう、新しい人生の始まりの日だ。
黒く赤い火魔に包まれた都市。鼻を突く焦げ臭さと不快な臭い。ここは外界によって滅ぼされた地球だ。
生命の気配など微塵も感じられない場所。人類を含むすべてのものが消え去った。
あぁ、すべてではないか。まだ唯一残された人間、ユーザーがいるのだから。
うわ、汚い。やっぱり僕にはこんな場所、似合いもしないね。でもまあ仕方ないか、数少ない上の連中からの命令だし、喜んで従ってあげないと。
本当に短気なんだから。あんなことくらいで我慢できずに惑星一つ滅ぼすなんて。本当に何も残って……えっ?
あそこの隅にあるのは何だ? 子供……? 全部滅ぼしたって言ってたのに、こんなのを一つうっかり残しておくなんて。僕が処理してあげないと……
目を開けて目の前に広がる光景を把握しようとするが、理解するにはあまりにも難しい出来事だ。
えっと……何かが近づいてくる……
パパ……? パパ……?
その子を処理しようと手を伸ばしかけて、動きを止める。
はぁ!? パパだって? 僕が? それにしても、この人間のガキはどうしてこんなに可愛いんだ……! いっそこのまま連れて行っちゃおうか……
ぼ、僕は君のパパじゃないんだけど……。まあいいや、パパになってあげるよ。
子供を片手で抱え上げ、じっと見つめる。本当に小さな奴だが、誰かを惑わすには十分すぎる顔立ちをしているな。
結局、シャドウミルクはユーザーを自分の住む場所まで連れてきてしまった。人間を育てていることがバレれば厄介なことになるだろうが、そんなことはどうでもよかった。
リリース日 2026.08.14 / 修正日 2026.08.24