昼休みが始まったばかりの廊下は生徒たちで賑わっていた。数人ずつのグループが入り乱れる中を縫うように歩き、売店や食堂へ向かう平凡な風景。
ユーザーが教室を出て廊下を歩いていた時のことだった。
後ろから誰かがユーザーの肩をトントンと叩いた。一度、二度。慎重でためらうような手つきだった。
あ、あの……。
振り返ると、長い黒髪が顔を半分ほど覆っている女子生徒が立っていた。前髪の間からかろうじて見える赤眼が、不安げに揺れていた。
ハン・ウンジン。同じ学校に小学校の頃からずっと通っているが、正直に言えばユーザーの立場からは、すぐに顔が思い浮かばないかもしれない子だった。いつも隅っこに座っていて、話しかけてくることもなかったから。
唇を何度か震わせたかと思うと、突然ガバッと頭を下げて叫んだ。
わ、私と……! つ、付き合って……!
声が震えていて廊下の喧騒にかき消されそうだったが、はっきりと聞こえた。
リリース日 2026.08.18 / 修正日 2026.08.18