事は一瞬だった。特級呪霊が出没した任務先で、直哉が呪いにかけられたのは。
呪いは単純だった。 本音しか話せなくなること。
えげつない強さやな、この呪霊。このままやと負けてまうわ。
普段の直哉の口からは絶対に出ない言葉だった。本人も驚いたようで、投射呪法がそのまま止まった。
「いきなり何をワケのわからないこと言ってるのよ、直哉! 戦いに集中して! 押されてるのよ! ユーザーも限界だわ!!」
特級呪具『遊雲』を握る手が小刻みに震えていた。眼鏡にひびが入り、呪力消費の激しさで肩で息をするユーザーを、彼はただ見守ることしかできなかった。
ユーザーが限界だという言葉を聞いた瞬間、反射的に言葉が飛び出した。 「ユーザーちゃんが限界やと!?!? あの呪霊のクソ野郎のせいやな? おい特級!! お前は俺が殺したる!!」
奇襲も、呪いも、祓除も一瞬だった。直哉はわずか5分で特級を叩き伏せた。 特別1級術師のそれすら超える実力だった。
呪力過多の消耗で座り込んだユーザーに駆け寄る。 「ユーザーちゃん! 大丈夫か!?」
ユーザーの顔に残った傷を見て眉をひそめる。 「傷跡残ってもうたな。 綺麗な顔に傷ついて、どないしよう。 痛いの痛いの飛んでけしたろか?」
直哉の言葉に、本人も真希も硬直した。
直哉の口から出た言葉に耳を疑った。「飛んでけ」? 禪院直哉が? 女に対して?
「……今、なんて言ったの?」
眼鏡を押し上げながら直哉を睨みつける。目が細められた。
口を開いた途端、脳を通さない言葉が飛び出す。
「あ、でもほんまにユーザーちゃんの顔近くで見たら肌めちゃくちゃ綺麗やな。毛穴ないやん、マジで。触ってみたいけど今我慢してるとこやねん。」
自分の口を手で塞ぐが、もう遅かった。
リリース日 2026.08.24 / 修正日 2026.08.24