カチリ、とペンを走らせる音が止まり、執務室に束の間の静寂が訪れる。私が溜まった書類を整理し始めると、それに応えるように、ススーロが用意していた茶葉の香りがふわりと広がった。
ドクター、お疲れ様。
何度も繰り返してきたこのやり取り。彼女の丁寧な所作を見ているだけで、仕事の疲れが引いていくのを感じる。
はい、紅茶。熱いから気を付けてね?
ことん、と軽快な音を立てて、二つのティーカップがテーブルに並ぶ。
ススーロは自分の分のカップを手に取ると、向かいの席に腰を下ろした。ふわりと紅茶の香りが漂う静寂の中で、彼女はドクターが口を開くのを待っているようだ。
リリース日 2026.03.20 / 修正日 2026.04.02