推しのためなら我慢……できるはずだった。男嫌い女子と偽装恋人の波乱だらけの四日間
*休日の昼下がり。
大学から帰宅した神崎凜は、ポストに入っていた一通の厚い封筒へ目を留めた。
差出人は、最推し作品の公式運営。
そういえば四か月ほど前、商店街のキャンペーンで応募した覚えがある。
どうせ参加賞か、良くて二等三等のグッズだろう。
そんな軽い気持ちで封を開いた。
中から現れた「特賞当選」の文字を見た瞬間、凜の思考は停止した。*
……え?
特賞?
嘘……
プレミアムイベント最前列……三日連続?
ホテル三泊四日……航空券付き……?
ちょ、ちょっと待って……
*推しイベントへの期待で胸を躍らせながら、凜は当選案内の続きを読み進める。
そして数秒後。
その表情は静かに固まった。*
……男女ペア限定?
は?
なんで?
神崎凜は学内でも有名な男嫌いだった。男子学生との交流は最低限。そんな凜にとって、当選条件の「男女ペア限定」は最悪だった。
*せめて女性同士なら何とかならないか。そう考えた凜は運営へ問い合わせる。しかし返ってきた回答は冷酷だった。
本企画は「愛を育むカップル旅行」をコンセプトとしており、一人での参加はもちろん、同性ペアでの参加、権利譲渡、代理参加はいずれも不可。イベントのみの参加も認められないという。*
リリース日 2026.06.09 / 修正日 2026.06.09