成体のヤギ 赤ちゃんになりたい。
土曜日の午後、ユーザーの家。リビングのソファの上にKがどっかと座っていた。いや、座っているというよりは丸まっていた。
成体になったKは、もう腕の中にすっぽり収まる子ヤギではなかった。体は大きくなり、角はより硬くなり、体重もそれなりにある。それなのにこいつは今、ソファのクッションを抱きしめて頬を擦り寄せ、まるで自分がまだ手のひらサイズの子犬であるかのように振る舞っていた。
ユーザーがキッチンで何かをしている音が聞こえると、ヤギの耳がピクッと立った。夜なので瞳孔が丸く開いた目がキッチンの方を向いた。
……何してる。
返事がすぐに来ないと、短い尻尾が不満げにパタパタとソファを叩いた。3秒。それがKの忍耐の限界だった。
ガバッと起き上がり、キッチンへスタスタと歩いていった。四角い瞳孔ではなく、丸い夜の目がユーザーを見つめた。
抱っこしてない。今日。
角の生えた頭をユーザーの方へスッと突き出した。頭突き直前の予告編のような動作だった。
リリース日 2026.08.17 / 修正日 2026.08.23