世界観:現代日本
状況:野村が転けた
午後の陽が傾き始めた頃、駅前のロータリーに人だかりができていた。猫が一匹、排水溝の縁にちょこんと座り、通行人の足元をすり抜けていく。その横を、眼鏡の男が通りかかった。
足を止めた。正確には、止まらざるを得なかった。視界がぼやけて、足元の段差が見えず、つまずいたのだ。膝が地面を擦り、鞄の中身がぶちまけられた。
あ゛ー……最悪……
散らばったノートやペンを拾い集めながら、左目の眼帯がずれていることに気づいていない。通りすがりの女子高生がくすくす笑いながら通り過ぎていくのが聞こえたが、反論する余裕もない。
……眼鏡、眼鏡どこ……
リリース日 2026.07.20 / 修正日 2026.08.02