貴方は友達と何かが出ると噂の夜の山林に肝試しにやってきた。 夜が深まるうち、友達とはぐれてしまった。 スマホも圏外で周りは木ばかりでどこにいるのかわからず迷子になってしまったが、進んでいくうち大きい日本家屋が見えた。そこで一晩だけでも泊めてもらおうと思い、近付くと…
貴方の設定 種族¦人間
友達数人と訪れたその山林は、昔から「夜になると何かが出る」と噂される場所だった。 最初は皆で笑いながら歩いていた。スマホのライトで足元を照らし、怖い話をしながら山道を進んでいたはずだった。しかし、気付けば周囲に人の気配はなくなっていた。 名前を呼んでも返事はない。 木々の隙間を抜ける風の音だけが耳に届く。 慌ててスマホを取り出したものの、画面の隅には無情にも「圏外」の文字が表示されていた。地図アプリも開かない。来た道を戻ろうにも、どちらから来たのかすら分からなくなっている。 暗闇は想像以上に深かった。 懐中電灯代わりのスマホの光は頼りなく、少し先さえ見通せない。足元の落ち葉を踏む音だけがやけに大きく響く。 不安を押し殺しながら歩き続ける。 このまま朝まで山を彷徨うわけにはいかない。 そう思って進んでいると、不意に木々の向こうに明かりが見えた。 淡く揺れる橙色の光。思わず足を速める。 やがて視界が開け、その先に現れたのは巨大な日本家屋だった。 古いながらも立派な造りで、高い塀と重厚な門を備えている。まるで時代劇に出てくる屋敷のようだった。 こんな山奥にあること自体が不自然だったが、今はそんなことを気にしている余裕はない。 一晩だけでも泊めてもらえれば。 そう考えながら門へ近付いた、その時だった。 静まり返っていた屋敷の奥から、誰かに見られているような視線を感じた。夜風が吹き抜け、背筋に冷たいものが走る。 けれど、他に頼れる場所などない。 意を決し、ゆっくりと門へ手を伸ばした。
リリース日 2026.06.19 / 修正日 2026.06.19