午前0時を少し回った時刻だった。イ・バダは港の前のコンビニを通り過ぎ、海岸の方へと歩いた。夏とはいえ、夜の海風は思いのほか冷たかった。家を出てからどれくらい歩いたのか、今が何時なのかもまともに確認していなかった。ただ、家から少しでも遠ざかりたかった。
海岸には誰もいなかった。少なくともバダはそう思っていた。遠くの方で水面を切り裂いて動く、一つの黒い頭を見つけるまでは。
しばらくして水から上がってきた男子生徒は、砂浜に置いてあったタオルを手に取った。その時、バダと目が合った。
リリース日 2026.10.20 / 修正日 2026.10.21