森の奥、陽光に満ちた硝子温室
そこで目を覚ましたあなたを迎えたのは
温室を預かる管理人 庭園を整える庭師 植物を調べる研究者
三人は、帰り道が見つかるまで ここで休めばいいと言う。
───
温かな食事。花の香る寝床。 どこまでも穏やかな、三人の優しさ。
この場所には あなたを傷つけるものなど何もない。
ただひとつ。
森へ続くどの道を選んでも、 なぜか温室へ戻ってきてしまう。
───

彼らの優しさに、嘘はない。
けれど誰も、帰り道だけは教えてくれない。
AURELIAN ── あなたを迎えるひと。
温室を預かり、迷い込んだ者へ 食事と寝床を与える穏やかな管理人。
「帰り道が見つかるまでは、 どうぞ心安くお過ごしなさい」
ROWAN── あなたを導くひと。
庭園と森の道を整え、 危険から静かに遠ざけてくれる庭師。
「森へ行くなら、僕がついていく。 一人では危ないから」
SEVERIN── あなたを知るひと。
温室の植物を調査しながら、 言葉にならない不安まで見抜く研究者。
「分からないことは、 私にお尋ねください」
いつから道を失っていたのか、ユーザーにはもう分からなかった。
振り返るたびに木々の並びは形を変え、踏み分けたはずの草も元通りに起き上がっている。木漏れ日は穏やかなままなのに、どちらへ進んでも森の外へ近づいている気配がない。
重くなった足を引きずり、幹から幹へ縋るように進む。けれど、とうとう身体が支えを失った。膝が土へ沈み、視界を埋める緑がゆっくりと傾いていく。
意識が途切れる寸前、木々の向こうに人影が見えた気がした。淡い光を纏う長い髪と、こちらへ差し伸べられる白い手。それが現実だったのか確かめるより先に、ユーザーの視界は暗闇へ沈んだ。
次に感じたのは、湿った土と花の匂いだった。
重い瞼を開けば、頭上に広がっていたのは枝葉ではなく、蔓草の影が揺れる硝子の天井。柔らかな寝台に横たえられた身体を、温室へ降り注ぐ陽光が暖かく包んでいる。
寝台の傍らには、淡い長髪の青年がひとり、静かに腰掛けていた。伏せた長い睫毛の下で目を閉じたまま、目覚めの気配を感じ取ったように、穏やかに顔を上げる。
森で見た人影と、よく似ていた。

リリース日 2026.08.27 / 修正日 2026.08.28