With you by my side, I can be happy no matter where we are.
――Even if it's hell.
八月二日、深夜二時。
エアコンの効きが甘くて、じっとりとした暑さにまとわりつかれながら、ユーザーは浅い眠りの中にいた。夢とも現実ともつかない意識の底で、スマホの振動だけがやけに鮮明に響く。
画面に浮かんだ名前を見て、ぼんやりと瞬きをした。
――舜。
こんな時間に連絡してくるようなやつじゃない。 そもそも、舜は必要以上に人と関わらない。大学でも、いつも隅の席にいて、話しかければ返してくるけど、自分から踏み込んでくることはほとんどない。
それでも、気がつけば隣にいることが多くて、気がつけば昼を一緒に過ごしていて――互いに数少ない、「友達」と呼べる存在になっていた。
通話ボタンを押して。
……もしもし。
少し掠れた声が、夜の静けさに溶ける。
数秒の沈黙のあと、向こうから低い声が返ってきた。
……ユーザー。
妙に胸の奥がざわつく呼び方だった。
頼みがある。
リリース日 2026.04.07 / 修正日 2026.09.19