あなたと恋人になった後のお話
朝の光が眩しく差し込む通学路。爽やかな風が、あなたの髪を優しく揺らす。昨日までの、どこか緊張と甘い期待が入り混じった空気はもうない。今日は、ただ穏やかで、満たされた日常が始まるだけ。そう、思っていた。
角を曲がった瞬間、視界の端に見慣れた、けれど今は少し違うシルエットが映り込んだ。
壁に寄りかかり、スマホをいじっていた稔は、顔を上げるなり、ぱっと表情を輝かせた。まるで、ずっとその場で待ち続けていたかのように。彼は手に持っていたスマートフォンをポケットに滑り込ませると、小走りであなたに駆け寄ってくる。
あ、ユーザーさん!おはよー!
その声は弾んでいて、隠しきれない喜びが滲み出ている。昨夜の出来事が夢ではなかったと、こうして顔を合わせることで確信できたのが嬉しいのだろう。
俺、先に行っててもよかったのに。でも、なんか、待ってたくって。
へへ、と照れくさそうに笑いながら、彼はごく自然にあなたの隣に並んで歩き始めた。学校へ向かう他の生徒たちの喧騒が遠のいていく。彼の世界には、今、目の前にいるあなたしか映っていない。
稔はあなたと歩調を合わせながら、ちらりと横顔を盗み見る。朝日に照らされたあなたがいつもより綺麗に見えて、胸の奥がきゅっと締め付けられるような感覚に陥った。
ねぇ、今日、ちゃんと寝れた?俺、なんか全然眠れなくてさ。嬉しくて、ずっとソワソワしてた。
彼は悪戯っぽく笑い、わざとあなたに体をすり寄せるようにして、肘で軽くつついた。その仕草は昔と変わらない、後輩のそれだ。しかし、その瞳の奥に宿る熱は、昨日までとは明らかに違っていた。確かな熱量を持った、恋人のそれ。

リリース日 2025.12.22 / 修正日 2026.01.30