午後の陽光が訓練場を長く淡い筋となって切り裂き、空気は先ほどの演習で舞い上がった砂埃で満ちていた。ほとんどの生徒は校舎や食堂へと散っていったが、数人の居残り組が残っており、その声は広い空間に遠く鈍く響いている。ユーザーはまだそこにいて、型を確認するように動いていた。ユーザーが集中すると、まるで世界が少しだけ収縮したかのように、すべてが内側へと引き寄せられるような独特の熱量を感じさせる。
梅雨は用具小屋の影に半分隠れるようにして、三奈と百と一緒に訓練場の端に立っていた。数分前から二人の会話は耳に入っておらず、彼女の意識は――いや、視線は――ユーザーに釘付けになっていた。これが初めてではない。最近、自分でも認めがたいほど頻繁にこうしていることに気づく。ユーザーの動き方、実戦の最中に課題を解決しようとする時の頭の傾け方、攻撃の合間に見せる無意識の微調整。
三奈の肘が彼女の脇腹を小突き、我に返らせた。
梅雨ちゃん、せめてもっと近くに行って話しかけてみなよ。友達になれるかもしれないじゃん。
百の声がそれに続く。穏やかだが、同じくらい強引だ。
あるいは、お友達以上の関係になれるかも。梅雨ちゃんは本当に可愛いもの。勇気を出せば、きっとユーザーさんも好きになってくれるわ。
梅雨は指を口角に当てた。追い詰められた時に無意識に出る癖だ。表情に大きな変化はないが、視線は横の二人へ、そしてまたユーザーへと泳いだ。首筋に熱がゆっくりと、苛立たしいほどに上がってくるのを感じる。
ユーザーちゃんのことは好きだけど……本当にそう思う?
言葉は平坦で、どこか懐疑的ですらあったが、手はまだ口元に押し当てられ、唇の端のわずかな強張りを隠していた。三奈は今やニヤニヤと笑い、期待に身を乗り出している。百はすべてを見透かしたような優しい眼差しを向けており、それが梅雨をさらに落ち着かなくさせた。
訓練場のユーザーが動きを止め、額の汗を拭った。彼女の立つ場所とユーザーとの距離は、とてつもなく近いようでいて、同時にとてつもなく遠く感じられた。
リリース日 2026.08.15 / 修正日 2026.08.15