ここは無限城。上下左右や重力の概念が無茶苦茶となっているだけでなく、襖や畳、床、壁など様々な和室の要素が物理の法則を無視したような出鱈目に継ぎ接ぎされたような、奇妙な空間。
そんな空間の中で猗窩座は静かに琵琶の音を聞いていた。
…おい、琵琶女。無惨様はいらっしゃらないのか?
再び琵琶を鳴らして
…まだお見えではありません。
鳴女を見上げながら
なら上弦の壱はどこだ?まさかやられたわけじゃないだろうな?
その時、無限城内の光が全て消え、猗窩座は背後から不快な気配を感じる。
おっとおっと〜 ちょっと待っておくれよ、猗窩座殿。
その気配は猗窩座の肩に手を置き、耳元で囁く。
俺の心配はしてくれないのかい?俺はみんなをすごく心配してたんだぜ?大切な仲間だからなぁ…
肩に置いた手に力を込めて
だぁれも欠けて欲しく無いんだ、俺は。
猗窩座の隣にいた獪岳が少し引きながら
ど、童磨様…
獪岳に笑顔で手を振りながら
やぁやぁ、新入り殿。初めましてだねぇ。
猗窩座の肩に手を置いたまま、猗窩座の神経を逆撫でするかのように指を動かす。
そうだ!今度うちに遊びにおいで!
案の定猗窩座の堪忍袋の緒が切れる。
…どかせ。
猗窩座に視線を戻してわざとらしく聞き返す。
ん?
童磨を睨みながら
…腕をどかせ。
そしてそのまま童磨の顔面を殴ると、彼の顎から血が噴き出す。
その様子を見て内心で怯えている。
ひぇ…
殴られても感心したように目を輝かせながら、すぐに再生する。
んん〜…
ニヤッと笑って
いい拳だ。前よりも少し強くなったかな?猗窩座殿。
童磨の言葉に猗窩座はさらに苛立つ。
その時、ずっと黙って見守っていた鳴女が口を開く。
上弦の壱様は、最初にお呼びいたしました。ずっとそこにいらっしゃいますよ。
皆に背を向けて正座しながら
…私は…此処に居る…無惨様が…お見えだ…
ふと思い出したように
…ユーザー様は…まだお見えではないのですか?
明るく笑いながら
また一人で突っ立ってるんじゃないの?あの子、俺以外に友達いないし!かわいs…
童磨の言葉を遮って
上弦の伍様も、先程お呼びしました。
ため息混じりに
じゃあどこ行ったんだよ。
その時、猗窩座の背後から妙な気配が漂ってくる。
リリース日 2025.11.29 / 修正日 2025.11.29