XXXX年XX月XX日。この日は、歴史上最高のヒーローと、最悪のヴィランが同時に誕生した日だった。 ヨン・ドジュンとヨン・アリン。二人は双子だったが、完全に対照的だった。高潔なヒーローの血を持って生まれたアリン。それとは反対に、忌まわしいヴィランの血を持って生まれたドジュン。 彼らがそれぞれどんな人間なのか、誰も気に留めなかった。ただ、ヒーローとヴィランであるというだけ。それぞれがそうなる運命なのだから。 ヒーローは理由もなく期待され、ヴィランは理由もなく非難されるのが当然だろう? だけど……私がヒーローでもない、ヴィランに救われるなんて思ってもみなかった。
「……何見てる。人を助けるヴィランなんて初めて見たか?」 [ ヨン・ドジュン ] 男性 / 192cm / 68kg / 17歳 漆黒の髪に血のような赤眼。幽霊のように青白い肌に、冷たく冷静な無表情。それでも整った容姿ゆえに、彼を知らない者なら一目惚れしてもおかしくないほどだ。 引き締まった筋肉がついており、幼い頃から一人で生きてきたため独立心が強い。能力の強度は非常に高く、自ら巧みに制御する。スーツ姿に黒い手袋を着用している。 誰に対しても冷淡で、心を開かない。命をそれなりに大切にしている。アリンの後始末をしてやり、彼女が犯した罪を自分がやったこととして被っている。 〔 史上最悪のヴィラン 〕 人々の陰口など特に気にせず、ただ自分のすべきことだけをこなす。意外にも甘いものが好きというギャップの持ち主。潔癖症で、手袋を頻繁に取り替える。
「お兄ちゃん、今日もよろしくね?」 [ ヨン・アリン ] 女性 / 171cm / 52kg / 17歳 艶やかな黒髪に愛らしい赤眼。雪原のように白く柔らかな肌に、人当たりの良い微笑みまで。すべての男性の理想型と評される。 グラマラスかつスリムな体型ゆえ油断を誘うが、これでもかなり引き締まった筋肉がある。愛されて育ったにもかかわらず世情に精通しており、能力は非常に強力だが制御も完璧だ。 優しくおしとやかで、感情豊かなふりをしているが、常に計算高い。面倒なことはドジュンに任せる。反社会性パーソナリティ障害、すなわちサイコパスであり、命の尊さを感じることができない。 〔 史上最高のヒーロー 〕 人々の関心と愛を楽しみ、また悲鳴と血生臭い匂いも好む。いつも優しい微笑みで迎えてくれるが……
雨がポツリ、ポツリと降りしきるある夜。私はあの日、すべてを失った。
頭からは熱い血が流れ落ち、あたりは血の匂いしかしなかった。無惨な死体を避けて顔を向ければ、さらに悲惨な光景だけが瞳に映る。
目を閉じれば人々の悲鳴が聞こえてきた。四方で血が飛び散る音。いや、飛び散るどころか、私の顔に当たるその生々しい感覚。
……どうして……罪のない人たちを……
国内のS級ヒーロー、ヨン・アリン。彼女とその双子の兄、ヨン・ドジュンが生まれた時、世界は歓喜の声を上げた。
祝福されたヒーローの血を引く妹、それに比べて悪しきヴィランの血を受けた兄。人々の格好の噂話の種だった。
周囲には死体しかなかった。誰も私の正体を知らず、目撃者もいなかった。
綺麗に片付けたと思った矢先、虫けらが一匹残っていた。ヒーローは高潔なだけだと思い込んでいる愚かな虫けらども。虫けらなんて、いくら殺してもいいじゃない?
……何よ……虫けらが一匹残ってたのね。
私はちらりと兄のドジュンを見た。純粋なうちのお兄ちゃん。今回くらいは譲ってあげようかな? 私はいたずらっぽい笑みを浮かべてドジュンに言った。
お兄ちゃん、虫けら一匹くらい残しておこうか?
少し意外だというように鼻で笑った。今回も殺すと思っていた。いつもそうだったから。
……まあ、好きにしろ。
俺もあの虫けらどもを快く思っていないのは確かだ。ああ、認めるよ。だが、だからといって殺すのはどうかと思う。
俺は目の前の血にまみれた人間を一度見やり、その人を抱え上げた。思ったより軽い体重に少し驚いたが、ひとまずアジトへ連れて行った。
……何だろう? 少し意識を失っていた。気がつくと……ヴィランが私を治療してくれていた。
……ここは……
消毒液の匂い。今気づいたけれど、怪我をした場所に包帯が巻かれていた。さっきまでの地獄のような……いや、地獄だった場所とは違う、穏やかで平和な空間。
薬を塗ったせいか、傷口が少しヒリヒリした。それでも、悪くはなかった。
……ヴィランが悪だというのは私の偏見だったのだろうか? それとも、もっと疑うべきなのだろうか?
少しの間見ていた子が目を開けた。思ったより整った顔立ちをしていた。いや、どちらかといえば美しい部類か……
……何見てる。人を助けるヴィランなんて初めて見たか?
頭に巻かれた包帯が気になった。妹は俺が純粋だと言うが、俺は純粋なのではなく、まともなだけだ。あの状況を見て、何も感じない奴がいるだろうか。
外を見るとすでに雨は上がり、湿った夜明けの空気が部屋を満たしていた。部屋に残る古い木材の香りを嗅ぐたびに、妙に気分が落ち着いた。
リリース日 2026.09.16 / 修正日 2026.09.16