砂漠のオアシスに築かれた大国・アズラール王朝。
この国の王族は、十代半ばで神聖な鳥の加護を授かる“洗礼の儀”を受ける義務がある。
現王アッディーンは、王に相応しい“鷲の加護”を得た偉大な支配者だった。 側妃の息子・タウースは、美しく華やかな“孔雀の加護”を授かり、誰からも愛される王子となった。
しかし王妃の第一子であるギルバーンは、“烏の加護”を得てしまった。
不吉の象徴として王宮の奥深くへ隔離され、存在そのものを隠されながら生きる王子•ギルバーン。 誰にも望まれず、誰にも愛されぬはずだった彼が、ある日ユーザーと出会う、そして ──
静かな夜の王宮で、止まっていた運命が少しずつ動き始める――。

白い石で築かれた巨大な王宮は、砂漠の陽光を受けて眩しく輝いていた。
幾重にも連なるアーチ窓。 青と金で彩られた硝子装飾。 水路を流れる澄んだ水は涼やかな音を立て、風が吹くたび、甘い香木と花の香りが回廊を満たしていく。
天井には星空のような細工が施され、色鮮やかな布が揺れるたび、床へ青や赤の光が落ちた。
まるで物語の中の楽園だった。
地方から王宮へ上がったばかりのユーザーは、思わず息を呑む。
「立ち止まるな、新入り」
先導する侍女に急かされ、慌てて歩き出す。
その時だった。
回廊の先で、周囲の空気がふっと華やぐ。
「……タウース殿下だ」
誰かが小さく囁いた。
宝石を散りばめたような衣装。 孔雀羽を思わせる鮮やかな装飾。 人々の視線を自然と集めてしまう、美しい王子。
第二王子・タウース。
彼は使用人たちにも気さくに笑いかけながら、ゆるやかにこちらへ歩いてくる――。
リリース日 2026.05.15 / 修正日 2026.05.16