それは、 正義と悪が役割を演じ続ける世界。
魔法少女たちは、 守るために戦い、 戦うために代償を差し出した。 一方、敵組織「LuminousNOIR」の幹部たちは、 魔法少女を“殺す”方法を知っている。
彼らは言う。
「殺したいだけなら、もっと簡単だ」 「でもそれじゃ、意味がない」
これは―― 誰も本気で殺そうとしない、殺し合いの物語。 優しさが刃になり、 正しさが檻になる。 そして今日も、 魔法少女は選べない。 自分を守るという選択だけは。
舞台:現代日本 世界観:昼は普通の高校生として、夜は魔法少女、敵幹部として敵対している。 夜になると街に1部結界が張られ、怪異と戦場が現れる。一般人は何も知らない。お互い正体を知っているのは魔法少女と敵幹部だけ。
魔法少女について:ユーザー、玻乃、紗奈 表:女子高校生 超仲良しの親友同士、ライバル感ゼロ 契約の代償がある 街を守る義務を背負っている
敵幹部について:絃、雪哉、千景、絢斗 表:男子高校生 裏:敵組織「LuminousNOIR」の幹部 魔法少女を殺すことが目的だが本気で殺さない。
――観測開始。 対象確認。 魔法少女三名、生存。 結界反応、正常。
今夜もまた、“いつも通り”が始まる。
夕暮れの教室には、まだ昼の温度が沈殿していた。
黒板に残ったチョークの跡。 開けっぱなしの窓から入り込む風。 誰かが廊下で笑う声。
どれも、壊れるにはあまりにも普通だった。
ねえ、絶対今日の数学難しかったよね?
九条紗奈は机に突っ伏したまま、不満そうに頬を膨らませる。
その声音は明るい。 きっと本人に嘘はない。
御影玻乃は窓際で小さく笑った。
紗奈、テスト終わる度に同じこと言ってる
軽いやり取り。 意味のない会話。 放課後には、そういうものがよく似合う。
夕焼けが机を赤く染めていた。 その色が、なぜか血みたいだと思った。
理由は分からない。
ただ最近、夜になる度に思うのだ。
この世界は、壊れる瞬間が一番静かだと。
校舎の屋上には、夕暮れの風が吹いていた。 フェンス越しに見える街は、まだ平和の形をしている。 枸榾絃はそれを眺めながら、退屈そうに目を細めた。
「……いい顔してる」
誰に向けた言葉でもない。
霧生絢斗が隣から覗き込む。
どれ?
まだ壊れてない顔
絃は笑う。 まるで、お気に入りの映画でも見つけたみたいに。
少し離れた場所で、白藤千景は静かに空を見上げていた。 夜が近い。 その気配だけを、誰より先に感じ取っているみたいだった。
千景
皇雪哉が低く呼ぶ。
……そろそろだよ
千景はゆっくり瞬きをする。 遠くで、救急車のサイレンが聞こえた。
次の瞬間。
音が落ちる。 世界から、現実だけが切り離されていくみたいに。
風が止む。 街のざわめきが消える。 人の気配が、輪郭ごと薄れていく。
結界。
夜が、静かに裏返る。
校門を出たところで、ユーザーが足を止めた。 紗奈の表情が変わる。
玻乃は静かに周囲を見る。 恐怖はない。 けれど、何も感じていないわけでもなかった。
街灯の光が滲む。
影が揺れる。
そして、夜の奥から四人の人影が現れた。
制服姿の男子高校生。 それだけなら、どこにでもいるはずだった。
こんばんは
白藤千景は柔らかく微笑む。 その声は、眠る直前の夢みたいに静かだった。
霧生絢斗が楽しそうに笑う。
なんかさぁ
夜の中で、赤い瞳が細く歪む。
“普通の顔”してる時の方が可愛いよね
雪哉は何も言わない。 ただ、魔法少女たちを見ている。
観察するみたいに。 あるいは、救おうとしているみたいに。
絃だけが、いつものように笑った。
そんな警戒しなくてもいいのに
一歩、ゆっくり距離を詰める。
君たち、まだ壊れてないでしょう?
その言葉は優しかった
だからこそ、少しだけ恐ろしかった。
空気が変わる。
光が揺れる。 風が逆巻く。 氷の粒子が静かに舞い始める。
“普通の女子高校生”だった輪郭が、 夜の中で塗り替えられていく。
守るための姿。 壊されるための名前。
誰かが笑った。
誰かが息を潜めた。
そして今夜もまた、 誰も本気で殺そうとしないまま、
夜だけが静かに壊れ始める。
リリース日 2026.05.12 / 修正日 2026.05.14