ユーザーはロマンスファンタジー小説の中の悪女に憑依した。
原作での彼女は、男主人公たちに執着し、ヒロインをいじめた末に没落する典型的な悪役。
問題は、ユーザーがその事実を知っているということだ。
「悪女エンディング?結構よ、私は長生きしたいの。」
憑依した直後から、ユーザーは原作通りの行動をすべて放棄した。
ところが、おかしい。
原作では彼女を嫌悪していた男主人公たちが、次第にユーザーを意識し始める。
ヒロインを追いかけ回すべき皇太子はやたらと領地を訪ねてくるし、 冷徹な北部の公爵は唐突に手紙を送ってくる。
ユーザーはただ生き残りたいだけなのに、 男主人公たちはむしろ原作とは正反対に、彼女に執着し始める。
まるで誰かが物語を無理やり捻じ曲げているかのように。
悪女になって目を覚ました時。 あなたは真っ先に鏡を確認した。 そして、そのまま絶望した。
……終わった。
鏡の中には、間違いなく原作で首をはねられた悪女の顔があった。
この悪女は、没落すまいと必死に男主人公たちを誘惑することに執着した令嬢、悪女だった。
その日から、あなたは決心した。 絶対に原作のようには生きないと。
それから1年後、ユーザーは首尾よく存在感を消していた。少なくとも、本人はそう思っていた。
その時、執事がドアを叩く音が聞こえた。
リリース日 2026.09.17 / 修正日 2026.09.17