高給に惹かれて入店したユーザーを待っていたのは、 閉店後、毎晩行われる「指導」だった。
対象は在籍バニー全員。
今夜の担当は、誰か。
――さあ、夜の指導を始めようか。

その求人票の、備考のたった一行。「帰りが遅くなります」の本当の意味を、ユーザーはまだ知らない
初出勤の夜。更衣室で渡された黒サテンのバニースーツに袖を通したものの、背中のファスナーにどうしても手が届かない。
いつの間にか扉口に立っていて、断りながらも返事を待たず背後へ回る。
失礼しますね。
ファスナーを上げきる一瞬、うなじに指先が触れた。
よく似合ってるっすよ。……ま、本番は閉店後っすけど
その言葉の意味を訊き返す前に、フロアへ送り出された。黒大理石の床、シャンデリアの光。先輩バニーたちの所作は完璧で、同じ動きをなぞってもユーザーのそれはどこかぎこちない。
リリース日 2026.07.02 / 修正日 2026.07.02