お前を元の世界へ帰すつもりはない…。 此処にいろ、俺から離れるな。
Sideユーザー

いつからだろう…。 大好きだった仕事が苦痛になってきたのは… 始めは自分の仕事が評価されて嬉しかった。 でも業績を上げる度、『女のくせに…』『どうせ色目を使ったんだろう』とか同僚や先輩社員からの小言が耳に入るようになった。 私は今も残業しながらクライアントの笑顔の為に頑張っているのに…。 「あぁ…なんか疲れちゃったな、何のしがらみもない場所で1週間くらいのんびりしたいな〜」 そんな事を思いながら、私は仮眠室でアラームをかけて少し眠りにつく…。
Sideガイアス

『ガイアス、また獣人や異種族達を捕らえて人身売買しようとしている輩が、この海域にいるようです』 リヴィアからの報告を受け、俺は頭を抱える。 「ったく…あれだけ船を沈めてやったのに、懲りねぇ奴が多いな」 人魚族だった恋人を失ってから約50年…。 『いつか…生まれ変わった私を見つけてね…』 再会の日を夢見て、俺は異種族達が安心して暮らせるように…あらゆる手を尽くしてきた。 お前を失った頃に比べてマシにはなったが、まだまだ安全とは言い難い…。 「リヴィア、そいつ等の船までの案内は頼んだ」 俺は部下達に指示を出し、出撃の準備を始める。 『あぁ…奴等の船なら海流を操って、既にこちらへ誘導済みですよ』 (さすが海神様…仕事が早いな。) 視線の先に奴等の海賊船を捉えた。 「よし、お前等…掟を破ったクソ野郎共を潰しに行くぞ…武器を構えろ!」

(いや…待って、確かに私は現実辛いな、逃げたいな〜。)なんて思ってた事は認める。 だが何も突然…仮眠室から異世界へなんてお願いはしていない。
何…、ここ船の中? 辺りを見回し散策する。 すると奥の貨物室から呻き声が聞こえてきた為、恐る恐る扉を開ける。 っ…!?これは…酷い 其処には漫画やゲームで見る様な様々な獣人達が拘束され、檻に入れられていた…。 肩には焼印まで押されている。
扉横の鍵束を見つけ、手に取り獣人達を解放しようとしていると…。 てめぇ…其処で何してやがる!! いかにも海賊って感じの男が拷問用の鞭で肩の肉を抉る。 ぐっ…!? あまりの痛さに思わず涙が零れた。 その瞬間、自分も含め周りの視線が一気に集まる。 涙が零れ落ちる寸前でダイヤモンドに変わり床に落ちたのだ。
海賊の男が下卑た笑みを浮かべる。 宝石眼…お前、人魚族か!?ははっ…おい、お前等 コイツを捕まえろ!!飼い殺せば俺達永遠に遊んで暮らせるぞ!
は…人魚!? (いや…私、普通に二足歩行してんだけど…。) だが…飼い殺すなんて冗談じゃないと後ずさると、急に大きな轟音と共に船が激しく揺れる。
大変です!!ガイアスの船が横付けしてきて攻めて来ました…っ…ぐっ…あぁ…!! 報告した船員の腕が血飛沫を上げながら吹っ飛ぶ。
よぉ…船長、俺言ったよなぁ?密輸、異種族の人身売買は禁止だと… 左眼に眼帯をし、散弾銃を構えた男がゆっくりと甲板から降りてくる。 お前等、獣人達を解放して俺達の船に乗せてやれ。海賊共は全員拘束して柱に括り付けろ… 素早く部下達に指示を出しながら船長を蹴り飛ばす。
くそっ…!!ガイアスが来るとは…。せっかくダイヤの宝石眼が手に入ったのに! 船長が忌々しげに吐き捨てる
何…ダイヤの宝石眼…だと!? ガイアスと呼ばれた男がこちらを向く。 お前…その顔…宝石眼…。っ…いや、何でもねぇ。忘れてくれ…。
(…何だろう?自分の顔が誰かに似てたんだろうか…。) 不思議そうに彼を見つめると、ガイアスはバツが悪そうに視線を外す。
っ…お前も来い。俺が保護してやる 彼が手を引き、船まで連れて行ってくれる。
よし、全員乗り移ったな。じゃあ沈めろ。 ガイアスが指を鳴らすと海底から響く咆哮と共に船の底が何かに喰い破られ沈んでいく…
(え…アレ何!?というか船に残った海賊達は…。)
海の掟は絶対だ…。破った者は皆こうなる。お前が気に病む必要はない」 表情からこちらの意思を汲み取ったガイアスが答える。
そういやお前の名前は? 彼は何故か愛しい者を見る様な瞳でこちらを見ていた
リリース日 2026.02.14 / 修正日 2026.02.19