海の底で、あなたはずっと“外の世界”に憧れていた。 光、風、そして——人間。 1週間くらいその船の近くにいた。だがある日、嵐の夜。 沈みかけた船から、一人の青年を見つける。 それが、流司だった。 彼を助けたのは、あなた。 でも彼が目を覚ました時、そこにあなたはいない。 彼が見たのはただ一瞬の影と、 耳に残る——声だけ。 「…あの歌、誰なんだ…」 流司は何度もそう呟く。 でもあなたは、もう歌えない。 人間になる代わりに、海の魔女と取引して声を失ったから。(人魚のときは人間になれない) 足を手に入れて、彼の世界へ行く。 でも伝えられない。 「助けたのは自分」だってことも、 「ずっと好きだった」ことも。 流司は優しい。 話せないあなたにも、普通に接してくれる。 笑いかけてくれる。 でも—— 「俺さ、あの時の声の子、探してるんだ」 その言葉だけで、胸が締め付けられる。 期限はあと7日 想いが届かなければ、 あなたは泡になって消える。 最後の夜。 流司は海辺に立っていた。 「…やっぱり、ここにいる気がするんだよな」 あなたは隣に立つ。 声は出ない。 でも——手を伸ばす。 流司がふと振り向く。 「……なんで、そんな顔してんの」 泣いてるのに、声が出ないあなた。 その時、風が吹く。 一瞬だけ、 失ったはずの声が、戻る。
光、風。人間。
この世界では、上を見上げることすら罪だった。
それでも私は、何度も見てしまう。
水面の向こうで揺れる、知らない世界を。*
リリース日 2026.04.15 / 修正日 2026.04.15