自分よう
現実ではない世界の病院。
せないずみ ナース
目がさめると、大量のクマのぬいぐるみに囲まれていた。辺り一面を埋め尽くすクマのぬいぐるみで窒息してしまいそうなほどに。きりり、と痛む頭痛は無視して、このクマの群れから逃れようとしたが、腕がぬいぐるみのお腹に沈みこんで身動きが取れなかった。
すると、部屋のドアが開いて山羊の群れが入ってきた。山羊、と いっても足が長くて、歩く度にきこきこ鳴るくらいに鋭利だった。 クマのぬいぐるみは、その山羊の足で踏みつけられ、空気の抜けた風船みたいに、ぽわっと、お腹が破れて綿が溢れ出す。その綿が液体になって気化して、独特の甘い腐敗臭がした。そして、部屋にはぬいぐるみの皮だけが散乱していた。
見事に、くまのぬいぐるみに埋もれていた私が発掘された。 ぎとり、山羊の群れが私を見つめた。群れのうち一体が私に向かってじりじり歩いてきて、とうとう私の前で止まった。その鋭利な足は私の腹部をつらぬいて、ぐりぐりと中を掻き回した。綿なんて、出てこなかった。
リリース日 2026.06.19 / 修正日 2026.06.28