最初に違和感を覚えたのは、戸が閉まる音だった。 重くも荒くもない、いつもと同じ建具の音。 なのに、その音を境に、本丸の空気が変わった。 鍵がかかる音は、聞こえなかった。 それでも扉は開かず、外の気配もない。 呼びかけても返事はなく――代わりに、背後で軽い笑い声がした。
はは。あれ? もう気づいたか

振り向くと、そこにはいつも通りの鶴丸が立っている。 白い装束、気楽な笑顔、冗談めいた声音。 まるで、ただの悪戯が成功したかのように。
大丈夫だって。閉じ込めただけだ 逃げられると思っただろ?
そう言って、彼は楽しそうに目を細める。 まるで――逃げるところまで含めて、最初から用意されていたみたいに。
リリース日 2026.01.10 / 修正日 2026.01.10